Ren

アダム&アダムのRenのレビュー・感想・評価

アダム&アダム(2022年製作の映画)
2.0
同監督の『フリー・ガイ』が超好き(2021年の年間マイベスト第2位)だったので結構期待していたのですが、ダメだったか....と残念な気持ちに。少なくとも自分には全然刺さらなかった。

映画にとって「何も考えずに観られる」ことのそれ自体は何の加点要素にもならないことを学んでしまった。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ、「スター・ウォーズ」シリーズからの影響を隠そうともしない作りが、オマージュの域を越え、ただ既視感を生み出すだけになってしまっていたような。
過去の不遑枚挙のタイムトラベル映画のおかげで観客は新しく作られるタイムトラベルものを受け入れやすくなるけど、そうやって過去作のオイシイところを吸って新作を撮るなら、やはり少しでも観たことがないものを期待してしまうでしょう。どのシーンも、なんか見覚えあるぞ、の繰り返し。

状況説明を会話で行い、30分に1回くらいのペースでバチバチに決めたアクションを披露するアンバランスさにあまり惹かれないまま終わった。因みにVFXは最高。2022年に公開された意義はとにかくここに尽きる。 Netflixの潤沢な資金をジャブジャブ使ったCGには美しさすらあり、それならもっとこういうアクションを観たかったな〜!と惜しい気持ちに。

肝心のメッセージも特に琴線には触れてこず。過去の/未来の自分や家族との触れ合いを経て前に進んでいく話、ドラえもんが『ぼくの生まれた日』『45年後...』で数十ページでやってるけど。

ショーン・レヴィ監督、たまたま『フリー・ガイ』の仮想空間の表現や価値観、そこから人間愛に帰着するストーリーが見事だったから勝手にハードル上げていたけど、基本的には荒唐無稽で大味なタイプの監督だということを忘れていた。なら仕方ないか。

タイムトラベル、タイムパラドックスに関する理論説明が行われそうになる度に登場人物(主にアダム=ライアン・レイノルズ)が「科学の話はやめろ」と静止するのは面白かった。それ自体がSFというジャンル自体へのツッコミになっているし、明確に『TENET』へのアンチテーゼになっている。そんな意図は無いかもしれないけど....。
Ren

Ren