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パーキングエリアのRenのレビュー・感想・評価

パーキングエリア(2022年製作の映画)
3.5
予期せぬ良作に遭遇。「吹雪」「閉鎖」「サスペンス」この怖いもの知らずな設定、トホホ映画の烙印を押され終了かと思いきや、意外にも面白くて個人的にはかなり満足な一作だった。

吹雪で足止めをくらって閉じ込められた人々が事件に巻き込まれていく話、有史以来10万本 作られているけど。2022年に果敢にもこの題材の映画を(原作はあるみたいだけど)世に出そうと思い立つ図太さはどこから来るのか。
例えば『ヘイトフル・エイト』くらい豪華な監督と俳優陣が予算をじゃぶじゃぶに使ってやるのはなんとなく分かるのだけど、今作のこの規模感でやってのけるのは凄い。

建物の構造もとくに工夫は無いし、主要人物は5人というミニマムさ。それでも、しっかりフラグを裏切ってくれる展開と抜かりない痛描写で飽きさせず楽しませてくれた。誘拐少女発見→犯人判明 の流れはささっと処理されるが、そこから少ないキャラクターをできるだけ活かしきろうとするストーリーで魅せてくれる。

不満点は、
○ 主人公の境遇をもっと本軸に反映させるべき....。クスリ常習の回収は◎。
○ 犯人が何故そんなに使命感を持って切羽詰まったように行動するのかが台詞でしか説明されないため、説得力不足。
○ あるエピソードが物語のキーになりそうなのに「不幸大喜利の一要素」に留まってしまっていた気がした。

どうしてこんなことが?黒幕は誰?的なミステリーではなく、全員の役職を知った上で見る人狼ゲームといった色合いの作品。歴史に残る一作ではないだろうし、新規性も特に無いけど、偏愛的に好きな映画!
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