Rena

探偵マーロウのRenaのレビュー・感想・評価

探偵マーロウ(2022年製作の映画)
3.4
もちろん、公認の件や原作は別の作家であることも承知していましたが、文体やマーロウ自身の言動にちょいちょい引っ掛かりを感じ、いちいち余計な事を考えてしまうため、原作は潔く半分程で断念。
ただそのお陰で、ある程度の背景や登場人物を把握した状態で映画に臨む事が出来たし、何より映像とともにあれこれ推理しながら観賞する事が出来て良かったと思います。

小物が好きなため、原作でクレアが愛用していたシガレットケースはどんな感じなのだろう? と、とても楽しみにしていたのですが、映画では別の人物が携帯しており、また、全体の設定もちょっと変えているところも興味深かったです。

この時代や雰囲気も大好きで、冒頭の音楽からもう早々に心をつかまれたのですが、残念ながらストーリーに乗りきれませんでした。
また、バビロンでのとあるパートを思い出すシーンがあり、デイミアン・チャゼルもこのくらい抑え目でちょっと上品? に描いてくれれば良かったのに⋯ と思いましたが、そこは、ニール・ジョーダンだからこそ、こう表現出来たのかなぁ? とも思いました。

もちろんこのストーリーに派手な展開など期待していないし、ダイアン・クルーガーにジェシカ・ラング。そしてリーアム・ニーソンと、とても魅力的な俳優陣でしたが、全体的に物足りなさを感じてしまいました。

なんだろう。
簡潔で雄弁なレイモンド・チャンドラーの名作のように、この作品に私はもっと、思わず声が出てしまうほど何かの感情に焦がれたり、この上ない 「哀愁」 を求めていたのかもしれないです。
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