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渇水のyumeayuのレビュー・感想・評価

渇水(2023年製作の映画)
3.0
"今日もカラッカラですね"

水道料金を滞納している家庭を回り、料金徴収や水道を停止する業務に就いている水道局員の岩切。人から嫌味を言われながらも淡々と業務をこなす岩切だが、猛暑のある日、親から育児放棄されている幼い姉妹と出会う。岩切は日々の業務の傍ら、姉妹を気にかけるようになり…。

電気、ガスは割とすぐ止められるらしいが、水道が停止させられるのは余程のことらしい。
事情があるにせよ支払うべき料金を滞納しているのがそもそも悪いのだが、当人を目の前にしてライフラインを停止するという仕事は精神的にキツい。

主人公・岩切もそこは割り切って仕事をしているが、心の奥では仕事に対して疑問を持っている。
市の職員が後ろめたい気持ちを持って仕事をしているということは、行政が本当の意味で市民のために仕事をしていないってことにも繋がるのでは?とつい考えてしまう。

本作は33年前に発表された小説が原作となっている。当時はバブル期だからこそ、水を止められるということ自体が非現実的であり、それが逆に衝撃的だったと思うが、現在では水を止められるという事がよりリアルで身近に感じるようになってしまった。
しかも原作から30年以上経過してるにも関わらず、描かれていることが当時から何も変わっていないというのは余りにも悲しい。

作品自体は終始淡々と進んでいくため、嫌な結末になるのではないかと不安であったが、結果として最悪は免れた感じだったので一安心。

うーん、でもよくよく考えたら何も解決してない気も…。
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