凄く刺さった映画だった。気付いたらぽろぽろと涙が流れていて、こんなにも刺さってきたのは、『生きてるだけで、愛』以来じゃないだろうかと思った。
うららがひとりで密かに楽しんでいたBL漫画の世界。ファミレスで後ろの席から聞こえてきた嘲笑が、うららが怯えている周囲の反応そのもので、好きなものを堂々と楽しめない世界にいたうららは寂しく、少し卑屈でもあったと思う。
でもきっと、本当はうららも楽しみを誰かと分かち合いたかったはずで。それが、英莉をズルいと思う気持ちに表れていたなと思った。
そんなうららの前に突然現れた雪さん。うららが越えられずにいた壁をさらっと越えて、BL漫画の世界をイキイキと楽しんでいる姿は、お茶目で可愛らしかった。
雪さんのちょっとした一言がきっかけとなり、自分で漫画を書く決意をしたうらら。雪さんとの出逢いはうららにとって大きかったけれど、それは雪さんにとっても同じで。互いに自分の世界を広げていく姿に、うららと雪さんは紛れもなく“友達”だなと思った。
決意をしたところからメタモルフォーゼは始まっていく···うららと雪さんの交流に、ほっこり温かな気持ちになれた映画だった。
#79_2022