割と映画はうんと泣く派ですが、今作もボロボロ泣きました。
熱血仕事ムービーであり、今の僕の乾いた心に染みるモチベーションムービーでした。
アニメはほとんど見ないので、アニメに対する愛は特に持ち合わせていないのですが、単純に、一つの作品を作り出す事への情熱と、そこにつきまとう「仕事」の一つ一つがカッコ良く、心が突き動かされました。
こういう映画が刺さる年になったんやな、と、くたびれた感想を持ちつつ。
王道ど真ん中で、アニメを主題にした映画として演出はありましたが、とても良い塩梅。
主人公は常に葛藤を抱えており、四苦八苦しながら信念を貫く様が非常に心地よく応援したくなる。
情熱が人を突き動かす様が丁寧なため、そこに没入し、作品を好きになることができました。
フィクションとリアルのバランスがよく、常に興味を持って作品に挑むことができました。
キャラクターの絶望の手触りが良いので、その先にある成功を素直に祈ることができました。
少し残念なのは、対立構造の盛り上がりが薄いこと。
ライバルキャラの魅力があり、退屈はないとはいえ、主人公は常に自身と戦っている印象なので、強大な敵を倒す感覚が薄い。
それならば、いっそ主人公チームだけに焦点を絞ったほうが良かったのでは、なんて思いました。中村倫也も尾野真知子も、すごく良かったけど。
監督のバランス感覚は伝わったし、作品が持つ明確なテーマや観客に伝えたいメッセージはメリハリがあり強く突き刺さるものでした。
ただワガママを言うなら、本作の面白味は「アニメを作る」ではなく「覇権をとる」なのであって、もっとそこを徹底的に追い求めて欲しかった。
素晴らしいモチベーションムービーであり、文句なしのエンタメではあるが、頂点を目指す狂気の世界を描くには、やや幸せ過ぎたかもです。
本作に死ぬほど泣かされたのが悔しいんじゃありませんよ。多分。
