ウサミ

ゴジラ-1.0のウサミのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.8
めっちゃ前に予告で見て、あーまたゴジラやんのか、あ、今度は日本か、なら観ようかな、あ、山崎貴か、やめとこうかな、あ、ヒットしてる、面白いんだ、なら観ようかな、でもなあ、あ、日アカとった、なら見ようかな、、
の繰り返しでほったらかしにしてたんですが、アカデミー賞取ったのでようやく見ました。

ゴジラのテーマってすごいっすね。
根源的な恐怖を呼び起こすし、使い方次第では迫力を増幅する戦いの音楽になるし。

映像も凄かった。
世界で戦える壮大なSF映画がついに!!
戦いの迫力も、造形も、凄い!

けど、それくらいでした。
全体的に人間ドラマによる推進力が薄いため、作品に対する興味を持続するのが難しかった。
キャラクターも1人1人の造形が今ひとつ深まらず、全てのキャラクターが脚本のためのコマのようで、上滑りだった。

パニックムービーとしての絶望感は薄く、ゴジラによる恐怖は薄め。
この感覚が伝わるか分からないですが、ゴジラが人間に対して敵意を持っている感じがして、逆に怖くなかった。

ゴジラはそこにいてただ活動しているだけで、結果として殺戮が起きる感じの方が怖い。こんな巨大な生物に勝てるわけないと、なぜなら彼はここに在るだけなのだから…感がなかった。

シン・ゴジラが大好きなのですが、その理由がゴジラの目的が分からない事なんですよね。まあ、今作も分からないんですけど。なんか、今作は「侵略」って感じがして。

また、対ゴジラの人間ドラマとしても、ややお涙ちょーだいでフィクション感が強く、入り込みづらい。
キャラの造形が弱いので、そのお涙ちょーだいにもあまり乗れないんですよね。
今涙腺が死ぬほど脆いのでぼろぼろ泣いたんですが。
一つ一つのドラマに深みがないから、戦いに際して彼らが背負う葛藤や恐怖が伝わらない。恐怖に立ち向かう感覚がないから、虚構との戦争に入り込めないんですよね。
生きる事、死ぬ事、その意味が作品は表現できていないように思えます。戦後を舞台に、かの大戦を引き合いに出すなら尚更です。
恐ろしいものに立ち向かう日本人の強さはなんなのか。それが伝わらないと、フィクションの世界をただフィクションとして俯瞰しているに過ぎず、没入感が生まれていないように思えました。

なんか全体的に山崎貴だなあ、と。
あまり感想が出てこない作品でした。

面白いし、熱くなれるシーンももちろんあるし。
けど、ゴジラが海外の人たちにさんざか凶暴モンスターとしてレイプされている中、日本が生み出した虚構の中の恐怖として、日本でしか表せないゴジラを観たかった。

安藤サクラが思ったより活躍してなくて肩透かし。
神木隆之介は素晴らしい俳優だが本作においては軽い。
浜辺美波は可愛いがそれだけ。
なんで橋爪功?

ヒットしたのは大きくうなづけるし、楽しい映画でしたが、僕はもっと頭を殴られるような衝撃を期待していました。
ウサミ

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