メル

ブライアン・ウィルソン/約束の旅路のメルのレビュー・感想・評価

4.0
多くのミュージシャンから"天才"と言われるブライアン・ウィルソンのドキュメンタリー。

監督は制作に3年かかったと言っているのでインタビュー映像は70代後半のブライアンだ。
インタビュー嫌いの彼だけど、長年の友人と2人だけで車の中で音楽を聴きながらの会話なので少しだけリラックスした素顔の表情が見られる。

ビーチ・ボーイズのあの心地良いハーモニーの作詞、作曲、プロデュースまでを一手に引き受け、若干22歳でベストテン入りした曲が7曲という快挙。

あの頃の屈託のない表情と兄弟のやり取りも映像の中で見られる。
その弟2人を先に亡くした悲しみは今でもブライアンを苦しめていて、車の中でひとり涙を拭う。

エルトン・ジョン、ブルース・スプリングスティーンなど様々なジャンルのミュージシャン達のコメントも素晴らしい。

唯一この作品で知った事、それは彼らの父親による暴言とDV。
3人兄弟の長兄として、繊細なブライアンにとってそれがどれだけ彼を苦しめただろう。

うつ病、ドラッグ、アルコール依存、統合失調などなど、断片的なニュースしか流れてこなかったあの頃を、今、自分の言葉で語れるようになって良かった!と思う。

多くの荒波を超えてあの頃の美しい声は大きく変化したけれど、ピアノに向かってライブ会場で歌う姿が見られて本当に嬉しい‼︎ そんな作品でした。

誰かが言っていた…彼の音楽を聴くと天国を見上げてるような気分になる…まさに言い得て妙だ。

彼の純粋さと才能がその天国を表現させるのかも知れない。
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