メル

ヘカテ デジタルリマスター版のメルのレビュー・感想・評価

3.6
第二次大戦中に北アフリカ(モロッコ?)に赴任した若いフランス人外交官が現地で謎めいたアメリカ人人妻に翻弄されて…という話。

原作は本人もフランス人外交官だったポール・モラン。

掴みどころのない女を愛した男の焦りと独占欲で自滅していく主人公という流れはやや古典的で新鮮味は無いが、影に少年たちの存在を絡ませているのがリアルな闇を感じさせた。

領事館の階段や壁を飾るタイル、女の住む屋敷の壁などイスラム文化独特の幾何学模様がふんだんに使われていて異国情緒を掻き立てる。青い光を使って夜の男女の姿や影をとても効果的に映し出しているのは抜群のセンスだと思う。

主人公は地の果てと言われるこの地を見下して白人の人妻を愛人にしている訳だけど、戦時中という厳しい世界情勢の中でも仕事もせず愛人にのめり込み、結局のところ上流階級の特権だけを享受し何事もなく昇進していく上級国民なんだというのが、何気にシラけさせられる。笑

男女で見方変わるかもね…な作品かな。

上司は最後まで立派な上司でした。
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