グラビティボルト

グリッドマン ユニバースのグラビティボルトのレビュー・感想・評価

グリッドマン ユニバース(2023年製作の映画)
4.0
まずは、この大団円まで着地出来た事を賛辞&感謝したい。見事!雨宮哲監督、今後も追い続けます!

初見ではあまり冷静に判断出来てないけど、山下敦弘が撮ったようなダウナーな青春ドラマと特撮アニメを掛け合わせるシリーズのコンセプトは崩さず、怪獣も再び出したいし学園祭も楽しみたいし、
マルチバースで出逢う連中とも仲良くしたいし、かつ語りも破綻したくない&巧く観客をノセたい!という至難の業を
118分で大胆にやって退けている。
見事な作品である事は間違いないと思う。

あんだけ人物が増える作りにしておきながら、各々のドラマを損なわないように描いているのが素晴らしい。
かつて別れたあの人と再び再会するシーン、宝多六花の顔に寄らずに掴みたい者を掴みにいけない掌に寄って情を表す間接表現が巧い。
終始この塩梅で、設定はわりきって長文の説明台詞、対して心情については間接表現、比喩で表し、多弁になり過ぎないバランス感覚が見事だ。
そして、あのラストショットね。
夜の公園での告白未遂以降、切返されなかった二人の視線がどう描かれるのか、
置いてきぼりを食いがちな宝多六花が響裕太の前を歩くように演技させてるのは敢えてだろう。
こうした細部があのラストの瑞々しさを際立たせる。

クライマックスのバトルの乱打ぶりについては、再鑑賞でどんだけ面白がれるか確かめたい。