ちゃんと子どもたちが主役になっている、素朴なとても良い映画だった。子どもたちから見えない部分は余白を持たせるに留まっていて、余計なエピソードが何もなかったから、もうどっぷり浸れた。
久ちゃんと竹ちゃんが友達になった瞬間、というのがきちんと描かれていて、その時の竹ちゃんの表情に、ふっと涙が出た。きっと竹ちゃんにとって、久ちゃんは初めての友達だったんだと思う。勇気を振り絞った竹ちゃんも、それに応えた久ちゃんも、ふたりともぎゅーっとしてあげたくなるぐらい愛しかったなぁ。あだ名で呼び合うって良いなって、心底思った。
竹ちゃんが久ちゃんに声を掛けた理由っていうのがまた沁みて。人を傷付ける笑いを知ってる久ちゃんの優しさや想像力は、きっと両親からの教えだと思う。思いっきり久ちゃんを抱き締めるお母さんとお父さんからは、愛情がたっぷり感じられたもの。竹ちゃんのお母さんも、苦労しながらも愛情たっぷりに子どもを見ていることが伝わってきたし、内田のじじいも良いんだよ。子どもたちを見守る大人たちにも、ほんとじーんときた。
子どもたちが観る初めての実写映画になったらいいな、という想いを込めて制作された本作。永遠に忘れられない尊い夏を送った久ちゃんと竹ちゃんの物語を、多くの子どもたちにも観てもらいたいなと思った。エンドロールのその先まで是非。
#95_2022
