グラビティボルト

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのグラビティボルトのレビュー・感想・評価

1.0
つまらん。ぶっちぎりの今年、というかここ5年ぐらいのワースト。
カンフーも、SFも全て説明的で
人物の生活やら人生の意味みたいなテーマにいちいち紐付けられてるからアクション単体で驚けないし、妙に声を高く芝居してる役者の佇まいも正直不快。
(アジア人のイメージ、悪くならんか?)
1フレームも良いと思えなかった。

新しい映画が既存の映画の記憶を多かれ少なかれ参照していて、故に「新鮮さ」を感じるのは難しいと知っていた、わかっていたつもりだったけど、にしても
あの世にも恥ずかしい「2001年」の擽り混じりの模倣や、正視に耐えないマトリックスの真似とか、本当に、辛い。
シン仮面ライダーのキル・ビルごっこも赤面必至だったけど、本作のこれは満席の劇場で絶叫したくなるぐらいにはつまらなかった。恥ずかしい上につまらん。手に負えない。

あと、様々な人生の可能性を色んな次元を回る事で味わい、最終的に今を肯定する。のは確かに大事な語りだと思うんだが、そこをエモーショナルにする為にやたらとスーパーエージェントの夫や国税庁の女性から過度に普通の人生を否定される語りもわざとらしい上に言い回しが普通に陳腐で単に不快なだけ。 
同性愛者の娘にあの衣装を着せるのも、それが剥がれた途端に対話が成り立つのもマイノリティをナメた姿勢が感じられて、下劣な上につまらん。
下劣かつまらんかどちらか選んで欲しい。

ファーストショットが鏡越しなのも何か一貫性のある演出なのかと思いきや、単なるケレンに過ぎなくて以降何の関連もないんだよね。この時点で滅茶苦茶偉そうな言い方すると作家の底が知れる。
あと、ランドリーもただ卑近さを強調する為の場でしかないのも退屈。

あの丸い鏡が、色んな人生を洗濯する衣服から垣間見るコインランドリーのドラム式洗濯機のイメージと重なって・・・みたいな技巧もない。
まぁ上記も素人考えだけど、にしても本作のマルチバースは言葉で説明される以上のものには観えなかった。

クレジットにルッソブラザーズが製作で入っているのを観て何か納得した。
エンドゲームのくどくどしさから一貫したつまらなさが刻まれている。
アイデアがアイデア単体で終わっていて、何のショットもモノにしていない空虚さね。
そもそもやたら持て囃されてる
「ウィンターソルジャー」もボーンシリーズをアメコミヒーローに持ち込んだだけの映画で、不当な高評価だと思っていたので、製作に回っても大した事ないとわかっていたつもりだったが、これは正気で眺められる値を超えてた。