このレビューはネタバレを含みます
一人の青年が来たことりより家庭が崩壊して
いくお話。
家族全員と家政婦まで彼に魅了され身体を委ねて
行く様は不思議な感覚を覚えました。よくある
誘惑という感じではないのです。下心とはまったく
違い『よしよし』とでも言うように優しく包みこむ
とでも言ったらいいのかしら。
あの感じを出せたテレンス・スタンプの演技力に
驚きました。そしてシルヴァーナ・マンガーノの
美しさも堪能。
家政婦のエミリアは聖人のように人を癒し、宙に
浮き、息子はジャクソン・ポロックのような抽象画
を描き始め、娘は頭がおかしくなり精神病院送りに
なり、妻は何人もの男と行きずりの関係を求め、
旦那は地位や財産を捨て、駅で真っ裸になり放浪
する…。
家庭を崩壊させた天使のようなあの男は悪魔だった
のか?とも思うのですがそんな印象は不思議と受け
なかったのです。
最後のエミリアが生きながらが地中に埋められる
シーンは言葉ではうまく表せないのですが、地に
返される喜びとでもいうような印象。
土をかけていたのはパゾリーニのお母様です。
『奇跡の丘』でも出演してらしたのでパゾリーニ
の母親への思いの強さも改めて感じました。