かなり久しぶりのパゾリーニ作品を劇場で堪能。岡山シネマクレール。昔、大規模回顧企画があったときにいろいろ観たのを懐かしく思い出す。
ほとんど内容は忘れていたけど割と物語性もしっかりある感じですね。聖なる(性なる?)来訪者が澱んだブルジョワ家族に入り込み、引っ掻き回して再活性化するお話は、どこか『家族ゲーム』とか『メリーポピンズ』なんかも彷彿とする。この宗教寓話的な設定はいささか図式的な感はありつつも面白い。1968年ということで背景にパリ5月革命の頃の階級闘争的な時代の空気感もあるか。
最近『ラストナイト・イン・ソーホー』にも出ていた若き日のテレンス・スタンプの妖気。『中国女』『東風』の頃のアンヌ・ヴィアゼムスキーの儚げな可憐さ。マカロニ・ウエスタン音楽でもお馴染みエンニオ・モリコーネの劇伴が不毛の砂漠を背景に冴え渡る。