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アルマゲドン・タイム ある日々の肖像のwisteriaのレビュー・感想・評価

4.1
たまたま仕事の空いた時間に上映していたのでほとんど前情報も持たずにふらっとシネマクレールへ。

エアロスミスが熱唱しそうなタイトルだけど、舞台は1980年代NYで別に巨大隕石は降ってこない。『アド・アストラ』ジェームズ・グレイ監督の少年時代の自伝的作品とのことで、ユダヤ系アメリカ人の主人公少年と黒人少年の友情、ある種の性格や境遇の子どもたちの生き辛さ、それを増幅する背景社会の軋みが描かれる。

母親役のアン・ハサウェイ、祖父役のアンソニー・ホプキンス、シュガーヒル・ギャングの'Rapper's Delight'、カンディンスキー、グッゲンハイム美術館、レーガン大統領、トランプファミリーなどの配し方が巧みで引き込まれる。

教育関係の末席に居るものとしては公立学校と私立学校の空気感の違いが面白いというか、社会の野放図的な前者と階級の縮図的な後者のコントラストに思うところが多かった。公立のしっちゃかめっちゃか感とか金持ち私立特有のあの陰険な感じとか。。

終わりがあんなだし主人公の性格が安直な共感を拒む面倒な感じなので苦手な人はかなり苦手な作品かもとは思うもののこの煮え切らなさでしか描けない味わいはあると思う。気になる点をあげれば主人公少年に比して黒人少年の背景の描き込みがあまりにも薄すぎるところか。。

Netflixで配信してるみたいだからこれを機に『アド・アストラ』も観てみようかなー
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