タカ

生きる LIVINGのタカのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
4.5
「生きることなく人生を終えたくない」

年に数度ある感覚
鑑賞後に出来るだけ長く余韻を味わいたい
湧き上がった感情に少しでも長く浸りたい
まさにそんな映画だった

黒澤明監督のオリジナルは残念ながら未鑑賞だけど、きっとそちらも素晴らしいのだろう
ブランコを漕ぐ有名なシーンだけは知っていたが、こんな風に繋がって行き着くとは知らなかった
自らのルーツの民謡を歌いながら、嬉しさが身体中からほとばしるような姿
途中で歌唱を止めた時と比べ、"生きる"という実感をたしかに持っている
人生で一番幸せということは、もう思い残すことはないということ
自分に課したタスクを達成して噛み締めたあの瞬間
彼は"ゾンビ"から"紳士"へなりきれたのだと思う

手本を示したその先
悲しいかな、人間の決意はひとときのこと
怠け心にサボり癖、変に力を抜いて
「支障はない」と後回しにする
"単調な毎日に心は麻痺"して決意・情熱の火は消え失せる
避けられないのであればもう一度思い出せば良い
過去の成功体験を
意欲に富んだあの頃を
あの満足感を
それが生きること

素晴らしい映画と出会えた
もし自分がこの先
死んだように空虚に生きていると感じれば
この作品を見返せば良い 
そうすれば思い出すはず
"生きる"実感とその充足感を
タカ

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