いの

マザーズのいののレビュー・感想・評価

マザーズ(2016年製作の映画)
3.8
電気も水道も通ってない。野菜を育て、鶏を飼い、エコロジカル&どこかスピリチュアル&ラクトオボベジタリアン?の三点セットであらしゃいます 意識高い系 子どもいないカップルの元に、住み込みでエレナがやってくる。森の中の小高い場所に立っている 家&湖&靄 の三点セットのビジュアルが雰囲気高い系で、これから怖ろしい展開となりそうで、背筋がゾクゾクする。


いや、難しいな。ホラーちょう弱者のわたしは、これはフラグか?といちいち身構え緊張した。恐怖の正体を解釈したくなったり、これは何かのメタファーじゃないかと勘ぐりたくなったり。アリ・アッバシの初監督作品ということで、わたしは、ここから「ボーダー」へと繋がるキー・ポイントを見つけ出そうともしてしまう。それはわたしには分不相応なことやった。


異物を異物だと認識したところから恐怖は始まるのかもしれない。異物だと認識したところから、それを排除しようとする意識が働くから。でも逆に異物に自分が支配され排除されてしまうのかもしれない。恐怖の正体は内側にある。恐怖のバトンは次の人に手渡され、バトンを持つ人が走り抜けられるゴールなど、ない。



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・まずは自分を褒めたい。ホラーと銘打たれた作品を最後まで観られた!しかも結末から観るという姑息な手段も今回は使わなかったぜ!


・ベイビーが成長し、やがて「ボーダー」の彼女になっても不思議じゃない、などと妄想しました。ベイビーの右目どアップにはやられました。何かが起きている!


・主要人物は3名、総登場人物は8名。鶏の数の方が多いのでは。低予算の映画なのでしょうか、これもミニマムな映画。(ケリー・ライカート観たばかりなのでそう感じるのかな) 


・スピリチュアルなヒーラーとして、ビョルン・アンドレセンが登場。ひょっとしたら、今作での出演が「ミッドサマー」へと繋がった? ルイスを演じたのは、「テルマ」の母役のエレン・ドリト・ピーターセン。手に入れたいものはなんとしても手に入れ、それ以外のものに対しては冷淡になれる彼女の存在こそが恐怖なのかもしれません。最後の場面、何回もリピートしちゃった。あの場面について、語りたい気持ちやまぬ。


・それから声を大にして言いたいのだが、これはジャケット詐欺!
いの

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