榊ニル

仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダルの榊ニルのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

公開当時結構炎上してたので、
ハードル低めに設定して鑑賞したからか、案外悪くなかった。

まずゴーダの設定がめちゃくちゃ好み。
「全ての人を救いたい」という、火野映司の欲望だけが独り歩きした結果、あのようなキャラ造形になったんだなと納得。映司の記憶だけを頼りに薄っぺらい言動がボロボロ出てくるのとか、良い意味で気持ち悪くて最高でした。終盤最強の力を求める流れも「映司も一歩間違えたらこうなってたかも」と考えさせられる。

肝心の衝撃展開「映司の死」だが、以外とすんなり受け入れられた。仮に終盤で「実は死んでましたー」だったらキレてたと思う。ただ序盤で映司の死を事前に伝えてくれているため、心の準備が出来たというか、死んでいる上でどのような物語が描かれるか、注目しながら見ることが出来た。

批判されても仕方ない展開だなーとは思ったけどね。TVシリーズの最終回で、誰かの手を借りれば、自分一人の力では救えない人にも手が届くって気づけたのに、結局自分1人を犠牲にして死んでしまうなんてねー‥‥‥‥‥。
まぁ他人を頼れる様になったからといって、いついかなる時でも助けてもらえるとは限らないし、あの場で女の子を見殺しにする映司は想像出来ないから描き方は間違ってないとは思う。
ただTVシリーズの流れを汲み取ると、そもそも1人孤独に闘っている中で、命を投げ出さないといけない状況そのものを作るべきでは無かったなと感じた。せめて映司が他人を頼りながら戦う姿を見せた上で自己犠牲があれば良かったかな。

最後、女の子が助かった事が分かって、「やっと届いたんだ‥‥‥」と良いながら散っていく映司を見て、少しゾッとしてしまった。
こいつ、根っこはTVシリーズから変わって無いんだなと。映司って、自分を犠牲にしてまで誰かを救いたいっていうより、自分を犠牲にするために誰かを救いたいって感じがするのよね。
紛争地域で女の子を救えなかったトラウマから、改めて自己犠牲が成立する瞬間を求めているというか‥‥‥。そんな、映司の歪んだ正義感を最後の最後にもう一度見せつけられたので複雑な気持ち。

後は細かい不満点をいくつか。

敵グリード達、全員復活する意味あった?
旧オーズと成長して美人になったメズール2人だけで良かったよね。
TVシリーズでのグリード達の散り様があっさり過ぎて物足りなかったので、そこを本作で掘り下げて欲しかったなーとモヤモヤ。カザリとウヴァの因縁とか掘り返してバチバチになるのを期待してたのに。

お兄さんがまた空気になってるのも悲しい。
アンクが憑依して味方の基地に戻るまでに、結構時間経ってるよね?その間、ヒナちゃんはお兄さんの安否を確認しなかったのか?もう存在していないかのような扱いじゃん。
TVシリーズと違って肉体は完全に回復してるんだし、アンク憑依中も、皆と会話してくれても良かったんじゃないかなー。

あと鴻上さん、またあんたが諸悪の根源になってるじゃん‥‥。珍しいよね、事の発端なのに主人公と敵対しないし、悪事を糾弾されない巨大組織って。旧オーズが倒れたとて、鴻上ファウンデーションが健在な限り、あの世界に平和はないなと思いました。

何より、尺が短い。何だよ一時間って。
いくら子供向けだからって、十年前の作品なんだから見る層も結構な年になってるじゃん。
2時間弱でもこっちは全然集中出来るのに。
もっと尺長めだったら上に書いた不満ももう少し緩和されただろうに。

総評「モヤモヤは残るけど、納得はできる完結作」って感じです。トイ・ストーリー4見たときと同じ気持ちだ。「受け入れられはするけど、もっとこう‥‥‥上手いやり方あっただろ!」って感じ。

オエージ!何で最後俺を追い出したんだ?
俺が取り憑いたまま生存ルートじゃダメだったか?
榊ニル

榊ニル