榊ニル

仮面ライダー555(ファイズ) 20th パラダイス・リゲインドの榊ニルのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

北崎さん「ねぇ‥‥‥ファイズの新作って面白いのぉ?」

村上元社長「中の上でしたね。」




はい、そこそこ面白かったです。

徹底したファンサービスで無難な作りになっていたので満足度は高め。

印象的だったのが、真理のオルフェノク化後の心理描写。本作によって、彼女がオルフェノクへの差別意識を持ったキャラクターである事が明言されたと解釈している。

自身が人間でなくなってしまった事にショックを受け、自殺を図った様はその最たる例だろう。オルフェノクを守るために戦う事はできても、自らがオルフェノクになったという事実には耐えられないのだ。テレビシリーズでも巧がウルフオルフェノクだと知った際は誰よりも強く拒絶していたので、薄々感じてはいた。そして本作で、彼女のオルフェノクに対する心情がより明確に描かれたことで、真理というキャラクターへの理解度が更に上がった気がする。

20年という時を経ても尚、人間とオルフェノクの間で揺れ動く乾巧の物語としても、興味深いものがあった。

ここから先は、私の妄想を語らせて欲しい。
考察したいのは、真理に「助けてくれ」と弱々しく懇願するシーン。私はあの言葉に「自分の生きる理由になってくれ」という思いが含まれていると解釈している。

本作の乾巧は、一度オルフェノクとしての寿命を迎えた後蘇生させられ、スマートブレインのオルフェノク狩りに加担している。その理由が「疲れたから、もうどうでも良くなった」というもの。きっと彼は、人間とオルフェノクの共存を20年間果たせないまま戦い続けた結果、心が折れてしまったのではないだろうか。そこに自身の死と再生が重なった事で、かつての志を見失い、スマートブレインの傀儡として抜け殻のように生きる道を選んだ様に見える。あとは真理がオルフェノクとの関わりを断ち、平穏に暮らしてさえいれば、心残りが完全に消えるはずだった。

しかし、真理がオルフェノクになった事で、
新たに生きる理由が生まれてしまった。
ファイズとして、もう一度戦う夢ができたのだ。「このままだと俺はオルフェノクを狩り続ける機械と化してしまう。だが真理を守るという夢さえあれば、かつてのファイズに戻れる」そう考えた結果「助けてくれ」と懇願したのでは無いだろうか。
真理に弱々しくすがるなど、テレビシリーズでは絶対にありえない事だった。しかし20年という時を経た今だからこそ描けた、乾巧の弱さ。
あのシーンだけで、本作を制作した意義はあっただろう。

あとは好きなシーンを箇条書きで挙げさせてもらいます。

・タイトルコール
テレビシリーズの映像をバックに、次回予告前に流れるファイズフォンピロピロピロを複数跨いでからのパラダイス・リゲインドバーン!
中々タイトルロゴを出さない焦らしが憎い。

・ミューズのAI予測変換
一回負けるルートを観客に見せるミスリードは心掴まれたね。

・新・スマートレディ
令和に平成中期の萌えキャラを出すんかい。

・ラーメンをぶちまけられる高岩さん
不意打ちすぎて劇場もザワついてた。

・草加の決め顔麺湯切り
‥‥‥いる?

・アクセルフォーム
胸、頭パーツギュイン!からの高速移動。
カッコ良すぎ。

・偽草加の巧に対する言動
基本肯定的なスタンスで、草加なら絶対言わないセリフまみれだったので、制作陣が解釈違い起こしたのかと焦った。
「乾巧は信念を曲げるような男ではない」
とか、心の内では思ってても、わざわざ皆の前で言うわけないやん。本物じゃなくて良かったぁー‥‥‥。

・オルフェノクセックス
描写が高度すぎて、ピクシブのマイナータグ見てる気分になった。

・北崎さんのミューズ変身
ーcompleteーしてからベルト装着、斬新すぎない?後続のライダー達も、是非あの手法を取り入れて欲しい。

・オートバジン君の唐突な援護射撃
テレビシリーズでも疑問に思っていたが、彼が助けに来る条件は何なんだ?
てか最終回で粉々になってたよね?
メカ北崎さんが直してくれたのかな?

‥‥‥‥これくらいかな。

とまぁ長々熱く語らせてもらったが、
本作を傑作!と手離しに絶賛出来ないのが本音。
所々粗が目立つ作りになっているのを、
見過ごすわけにはいかない。

上映時間は65分と短尺で、全体的に駆け足かつ説明不足。なぜスマートブレインがオルフェノク狩りをしているのか、なぜ草加・北崎さんがアンドロイド化しているのか、一切説明がなくモヤモヤが残る。オリキャスを使いたかったという大人の事情なのは分かるけども、ストーリー上の必然性がない。

新キャラは無駄に多い割に掘り下げが浅いのであまり印象に残らない。

ネクストファイズのビジュアル、アクションは素晴らしかったが、武器召喚、アクセルフォームぐらいしか新機能のお披露目がなく、物足りなさを感じた(せめてバーストモード、ナックルモードは見せてくれよ。プレバンで紹介されてる機能殆ど出てないやん)。

あと真理が飛び降りてから、
学校で目覚めてからの会話。
あれ理解できた人いた!?抽象的なやり取りすぎて殆ど頭に入ってこなかったんですけど。
この感想を書くために必死に思い出そうとしたけど意味が分からなすぎて記憶に残ってなかった。

また難癖になってしまうかも知れないが、復活のコアメダルとまでは行かずとも、もう少し攻めた物語をやって欲しかったという気持ちも少なからずある。







まぁ、旧式ファイズに変身してから
ぜーんぶどうでも良くなったけどね。

さぁ、あの激アツラストバトルを
思い出してください。
一緒に余韻に浸りましょう。

ファイズエッジシャキーン!
デデッ!デレレレデッデッデッデッ!デェーレーーーーテロテロテロテロテロ ヒロガルッウチュウッノッナッカッキャンユフィール〜♪

ー(中略)ー

ピピッーexceed chargeーマッヒトリヒトリノムッネッノッナッカ!
メェヲサーマセーザァタイトゥゴー
ツゥヨォクアッルタッメッニー(クリムゾンスマッシュバーンカイザミューズグワー)






うん、こういうのでいいんだよ。






総評、尺が短いせいで
所々物足りなさは感じるものの、
ファンの見たいものはちゃんと見せてくれる、
20周年作品として手堅く纏まった良作でした。

あー早く555殺人事件の後編配信してくれー。
もう草加が犯人でいいわ。
榊ニル

榊ニル