榊ニル

カラオケ行こ!の榊ニルのネタバレレビュー・内容・結末

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

そこそこ面白った。
クスクス笑える程度のコメディ要素と、
おじさんと男子中学生の友情物としてそれなりによく出来ていたと思う。

意外だったのが、狂児さんの持ち歌である紅が、一笑いのための出落ちでなく、物語上最後まで歌わなければいけないキーソングになっていた事。岡くんが変声期の喉を酷使しながらも何とか歌い切ったシーンは少しグッと来たね。

ただヤクザ要素は出落ちだったな、正直物足りなかった(予告の時点でも絶対出落ちだろとは思ってたけども)。コメディとしての笑いどころも組員一同にカラオケ講座やってた件がピークだった気がする。もっと狂児さん以外のヤクザとの絡みを見せてほしかった。

また岡くんの変声期故の苦悩、的な物語が描き込み不足だった気がする。
まぁ狂児さんへの鎮魂歌紅で、歌う事に対する恐れから開放された感はあるので、物語として一応筋は通っている。ただ合唱部目線、部長なのに部活サボりまくった挙げ句、コンクールも辞退した無責任な奴でしかないので、どうもモヤモヤしたな。合唱そのものからは逃げたまま終わった感じで。
あの部がエンジョイ勢多めだったからそこまで悪い空気になっていなかったのが救いか。

あとこれは私が気にし過ぎなだけな気がするけど、終盤中川さんとワチャワチャしていたのをイジられてブチ切れる件さぁ、あんなキレる事ある?思春期だし地雷踏まれたら怒りたくなる気持ちも分からなくもない。ただこれまで狂児さんからナメた絡み(愛は感じるとはいえ)をされても大人しくしてたのに、あそこで急にプッツンしたのには違和感があった。終盤狂児さんとの死別(勘違い)をより悲劇的に見せたいがための不自然な仲違いというか‥‥‥。
やっぱり女の子とイチャついてるのを嗤われるのはNGだったのかな。私が男子中学生の気持ちを汲み取れなくなっちゃっただけなのかな。あの後狂児さんがLINEで大人の対応取ってた所の方が見てて沁み沁みしちゃったし、子供心を理解出来ない大人になってしまったのかもしれない。カナシイ

以上、凡〜良作くらいのクオリティでした。
チケット代1500円くらいだったら妥当だったかな。

もう一つ、この映画で一番記憶に残ってるシーンの話もしておきたい。
あれよ、岡くんが映画部で「愛」とは何かを考え、その後の夕食で、両親が鮭皮を受け渡している様を見て何かに気づく件。

あのシーン、深くない?
お母さんからしたら皮が嫌いだからあげただけなんだろうけどさ。でも夫という間柄じゃないと鮭皮なんて微妙な物(私は鮭皮大好きだけど)渡さんよな。そしてそれを平然と受け取れるのは、お父さん側にも愛があってこそ。
作中では「何かをあげるのが愛なんじゃない?(要約)」的な、曖昧な台詞で終わっていたが、あげる愛と受け取る愛、その両方が成立して初めて真実の愛になるんだなと解釈しました。
今後誰かと食事してて、さり気なく鮭皮をくれる人がいたら、惚れてしまうかもしれない。









‥‥‥‥ヤクザもカラオケ全然関係ないやん。
やっぱり「そこそこ」じゃ。
榊ニル

榊ニル