広島カップ

評決の広島カップのレビュー・感想・評価

評決(1982年製作の映画)
4.0
市民の目は司法を超える!

『十二人の怒れる男』(1957)で市民の目への信頼を描いたシドニー・ルメット監督。
本作では再び12人の陪審員(つまり私達市民)への揺るぎない信頼を描きます。しかも本作では作品の殆どをその12人の陪審員へはスポットを当てず、ダメダメ原告弁護士(ポール・ニューマン)と相対する偉そうなエリート弁護士(ジェームズ・メイソン)のやりとりを中心に描きながら物語を進ませる中で、最後にそのように結末する辺りが実に憎い造りの作品。

ポール・ニューマンは社会常識からしたらダメな男が意地を張るという役が似合いますが、本作もその通りで鉄板の魅力を発揮しています。

出産に際し医療ミスと思われる病院の対応で植物人間になってしまった女性の弁護を引き受けた酔いどれダメ弁護士。
呼吸器に繋がれて病院のベッドで寝ている依頼人の女性をポラロイド写真を撮るシーンが秀逸です。撮ったポラロイド写真が徐々に現実の色に変色して行く所をフィックスしたカメラが捉えそれを主人公が見つめる。
「この人の為に」と弁護士が静かに心を決めるこのシーンが出色でした。
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