評決の作品情報・感想・評価・動画配信

「評決」に投稿された感想・評価

40年ほど昔の映画だが
もちろん通信機器などには
隔世の感はあるにしても
人間の持ついい部分である
正義は
信じてもいいのかもしれない。

と言うより
信じたい。

正義に敗れて
自暴自棄になった弁護士が
どん底から
また正義を貫こうとする物語。

古さを感じさせない
いい映画だ。

このレビューはネタバレを含みます

◉シドニー・ルメット監督とポール・ニューマンにとっての最後の秀作

フランク・ギャルビン(ポール・ニューマン)は飲んだくれの落ちぶれた弁護士で、新聞の死亡覧の記事から金になりそうな案件を見つけて何とか食いつないでいる。
ある日、医療訴訟の示談の依頼が来る。ギャルビンにとっては“おいしい仕事”だが必要な資料を集める過程で被害者の写真を撮りに行った時に、脳死状態で静かに横たわる被害者を見つめるうちにギャルビンの中で何かが変わった。
ギャルビンは示談ではなく法廷で争うことを決心し、先輩弁護士のミッキー(ジャック・ウォーデン)と一緒に、狡猾な病院側弁護士(ジェームズ・メイソン)と対決する。
私生活でも知り合ったローラ(シャーロット・ランプリング)という女性と恋仲になって、ギャルビンは公私ともに充実し最後の評決を迎える。




1970年代に「セルピコ」「オリエント急行殺人事件」「狼たちの午後」「ネットワーク」「プリンス・オブ・シティ」などの傑作を連発していたシドニー・ルメット監督にとって最後の秀作。この作品以降は駄作が続き晩年までの25年間で佳作は「旅立ちの時」と遺作の「その土曜日、7時58分」ぐらいか?


ルメット監督と初のタッグを組むポール・ニューマンの円熟した演技は見事だった。アカデミー賞では6度目のノミネートだったが、凡庸で退屈な「ガンジー」のベン・キングスレーに負け、後年「ハスラー2」の平凡な演技に対して受賞という屈辱を味わっている。(今やアカデミー賞の演技賞は有名人模倣や体型改造に対する努力賞になってしまった。)個人的にはこの「評決」がポール・ニューマンの80年代以降のもっともすぐれた演技だと思う。

シャーロット・ランプリングはミステリアスな女性役が良く似合い、目元が印象的で、THE LOOKと言われたローレン・バコールに匹敵すると思うが、この映画の役はポール・ニューマンとの恋愛関係に陥るまで必然性の弱さを含めて、映画全体の流れを停滞させているような印象を受ける。

名優ジェームズ・メイソンは70年代後半から「マンディンゴ(1975)」「さすらいの航海(1976)」「戦争のはらわた(1977)」「ブラジルから来た少年(1978)」「天国から来たチャンピオン(1978)」など多くの名作で印象的な役柄を演じており、本作の弁護士役が晩年の集大成であろう。

ジャック・ウォーデンは「大統領の陰謀」でもみせた頼れる上司役。

ブルース・ウィリスが出演していたそうだが、どこに出ていたか、サッパリわからず、ネットで調べたら、法廷の傍聴人の一人で完全にエキストラ。わかるわけがない!この6年後には「ダイ・ハード」でスーパースターの仲間入りをする



アル中で三流の仕事をこなしていただけの主人公がある事件をきっかけに立ち直っていくというアメリカ映画の王道の展開
しかし、冷静に考えると原告の示談の希望まで無視して法廷に持ち込むのはギャルビンにとっては人生の重要な選択だったかもしれないが、もし裁判に負けた場合は原告側はたまったもんじゃない
また被害者の写真を撮りながらギャルビンが法廷を決意する場面はポール・ニューマンの名演技で押し切るが、長年弁護士をやっていて医療訴訟の実情も知っているはずなので、この場面だけでの決心は動機が弱い。


シドニー・ルメット監督の久々の傑作の予感がしていたが秀作どまりになってしまった大きな理由は後半の甘さにある。


ここからネタバレ

後半が面白くなくなった原因はシャーロット・ランプリングのスパイの存在と、純粋な法廷裁判劇から裁判長や陪審員が感情に流されて態度が変化していく甘い展開になってしまったためである。

シャーロット・ランプリングが原告側のスパイにしたのは被告側弁護士の卑怯な手段を強調するためであろうが、純粋に法廷内での論戦に絞って欲しかった。

そして一番がっかりしたのは最後の評決。途中までの証拠に基づいた裁判では原告側があきらかに不利だったのに最後のギャルビンの情緒に訴える演説の後、最後の評決では陪審員が賠償金を増額していたが、ギャルビンの演説はそれほどのインパクトはなかったように思うので、増額になった経緯が不明で、この評決の甘さが全体の印象と結末を弱くしてしまった。

もっと理論的な戦いの法廷映画を見たかったのに。


厳密には傑作の一歩手前といったところか

ブルーレイ吹替で鑑賞
半兵衛

半兵衛の感想・評価

4.0
堕落した弁護士が引き受けた事件を通してかつて持っていた良心を取り戻し再生するいうベタなドラマを、ルメット監督による娯楽のツボを押さえつつも人間や社会を厳しくも優しく見つめた演出によって洗練された人間ドラマとしての映画に。

ある事件をきっかけに落ちぶれたポール・ニューマンの静かなやさぐれ演技も良いけれど、それ以上に格好いいのが裁判を通して彼と敵対することになる弁護士・ジェームズ・メイソン。世の中の酸いも甘いも知りつくしており事件の本質を見抜きつつも弁護士として仕事をどんな手を使ってもまっとうしようとする、悪人なのに人間としての懐の広さを感じさせる魅力のあるキャラクターになっており映画の幅をさらに広げる。二人と関わる謎の女・シャーロット・ランプリングもいい味を出しているけど、あまり話に絡まないのが残念。

たびたび出てくる『12人の怒れる男たち』のキャストやラストで陪審員が重要なカギとなるところなどもルメットらしさを感じる。ラストのニューマンの台詞もルメット節が冴え渡る。

ニューマンがピンボールに興じる場面やパブで仲間を酒を飲むところなど、普通ならダメ人間のダメっぷりを際立たせる場面がやけに楽しく描かれるので見終わったあと思わず行きたくなってしまう。
Yukiko

Yukikoの感想・評価

4.0
2022年6月4日
『評決』   1982年アメリカ制作
監督、シドニー・ルメット。
他の監督作品に『その土曜日、7時58分』『旅立ちの時』
『狼たちの午後』『セルピコ』がある。

ボストン。
フランク・ギャルヴィン(ポール・ニューマン)は独身で
弁護士。しかし、アルコール依存症だ。
先輩弁護士から仕事を回してもらった訴訟事件について、
植物状態になった患者とその家族に会う。
病院側の弁護士は多額の和解金を提示し、示談で済ませ
ようとする。


冒頭、葬式会場に行くギャルヴィン。
会場で、自分の名刺を差し出し営業をして回るギャルヴィン
に、まさか、このような場で!?とオドロキ。

アルコール依存で全てがうまくいかず、仕事もやる気が
なかった、
その自分を変えようと、病院の医療過誤事件訴訟に真面目に
取り組もうとするギャルヴィン。
自己の再起を掛けて頑張る。

事件は・・・
3年前、出産の為に病院に入院した女性が、麻酔の時の事故で
植物人間になってしまった。
病院側のミスか? その時、何があったのか?

うやむやにしようとする病院側に、植物人間のままの女性の
遺族が立ち上がる。

裁判で、次第に明らかになっていく真相。

話も面白いし、ギャルヴィン役のポール・ニューマンさんが
見応えあった!!!

お相手役に、シャーロット・ランプリングさんが、弁護士役
で出演なさってる。
久しぶりにポール・ニューマンを会いたくてチョイス。一人残された部屋で、「ダム(dumb)、ダム、ダム、・・・」って言うポール・ニューマンが、ちょっと情けなくてキュートでした。
erica

ericaの感想・評価

3.7
WOWOW録画一覧の中で1番古かったこちらをやっと鑑賞。

古い映画だけど、(人間的に優れた)敏腕弁護士が活躍する法廷ドラマが多い中で本作は何だか新しく感じた。
というのも、主人公の弁護士が自堕落でどうしようもない男であるから。
他人の葬儀に出席しては故人の友人だったという体で遺族に声を掛け、あわよくば仕事を得ようとするところまで落ちぶれていた。

そんなダメな主人公が、ある医療ミスにより植物人間となってしまった被害女性の弁護をすることで、弁護士としての信念や正義感を取り戻し変わっていく。

主人公と恋仲になるシャーロット・ランプリング演じる見た目も中身もミステリアスな女性(エヴァ・グリーンみたい!)がキーパーソンとなるのだけど、2人のやり取りがとても大人な雰囲気で引き込まれる。
特にラストシーンは忘れられない。。余韻がすごい。
wakana

wakanaの感想・評価

4.0


後半の盛り上がりが良かった。

P・ニューマンは、渋かったな。。
metsubo

metsuboの感想・評価

3.6
ポール・ニューマンがかっこいい映画になってしまった。脚本がもう少し良ければ傑作になったのだろう。敵弁護士のコンキャノン出来杉くんでした
TP

TPの感想・評価

4.4

このレビューはネタバレを含みます

★1985年に続き2回目の鑑賞★

 社会派の巨匠、シドニー・ルメットのキャリア・ハイを過ぎた中期の、地味な作品なのだが、「十二人の怒れる男」「セルピコ」「狼たちの午後」といった名作にも劣らない緊迫感が全編漂う。

 まず、出演者の面々が良い。ポール・ニューマンは本作で俳優としても上手いということが再認識できるし、名脇役ジャック・ウォーデンが旧友の弁護士、ジェームズ・メイソンが対抗する大手弁護士事務所の弁護団長、顔つきからしてミステリアスなシャーロット・ランプリングが素性の不明な女性と、渋すぎる。
 そして、カメラワークでゆったり・じっくりと出演者を映し出し、特に冒頭から度々登場する、萎びたバーの片隅にあるピンボールに興じるアル中の弁護士フランク(ニューマン)の逆光のシーンがカッコよくて、もう最初から、大人のための落ち着いた良い映画だろうという雰囲気が漂っている。

 ストーリーは、本来弁護士とは何のためにいるのか、正義とは何なのかということを主眼とする方向に展開していくのだが、猪突猛進的に進むのではなく、一歩進んで一歩下がるという感じでなかなか一筋縄ではいかないので、全く気を抜けない。

 ただ、裁判上使える証拠がほとんどない中での最後の陪審員の判断は、心情的に弱者が救われる内容を観客が望んでいるのはその通りだが、さすがにこの裁判シーンの結末には疑問符が残る。

 その部分は大きな欠点なのだが、全般的にフランク弁護士がダメなところも持った一人の人間という描き方が魅力的だし、何と言ってもランプリング演じるローラの素性を知った後の二人のやり取りが、近年の映画では絶対ありえないと思われるほどのクールさだし、ラストシーンの余韻はなかなか強烈!!
 70年代後半が少し低迷していた巨匠ルメットの復活の一撃!
一人旅

一人旅の感想・評価

5.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。年老いたポール・ニューマンもかっこよかった。あのダンディーさは只事ではない。酒浸りで何の正義感すら最初は持ってなかったポール・ニューマン扮する主人公。だが真摯に事件と向き合ううちに、若い頃の正義感に溢れた自分を取り戻していく・・・。彼の演技力はやっぱり凄い。酒の注ぎ方、電話で会話する姿、歩く時の手の動きなど・・・ひとつひとつの動きにベテランならではの余裕と自然さを感じた。敗訴必至の状況下で突如明らかになる真実に鳥肌が立った。彼が陪審団に向かって話した言葉「今日の正義は法廷でも弁護士でもない。あなたたちです。」この言葉も強烈に印象に残っている。レンタルした後気付いたけど、今作品の監督は今月9日に亡くなったシドニー・ルメットである。監督作品『十二人の怒れる男』『セルピコ』『オリエント急行殺人事件』『狼たちの午後』はとても思い出深い。
>|

あなたにおすすめの記事