カトリック教会が所有する大病院で起きた医療ミス事件。
被害者家族の弁護をするのは、訳あって裁判から遠ざかっていたアルコール中毒のフランク。
対する病院側の弁護士は多くのスタッフを抱えた、すご腕の大物。新聞やTVを媒体にして教会や大病院を訴える原告側を中傷する情報操作にも手を抜かない。
訴訟大国アメリカだが、陪審員制度にも弱点がある。
人種差別や貧富の差がある中で陪審員に求められる正義とは?
権力によって弱い者をねじ伏せていくアメリカの裁判制度に社会派のシドニー・ルメットは一石を投じたかったのだろう。
上映から10年以上も経て、日本でも大騒ぎになったO.J シンプソン事件とその裁判の結果は何とも言いようの無いものだ。
一見、裁判とは関係なく思えるシャーロット・ランプリングとの絡みだが、一切の説明を許さないラストシーンは中々男らしいフランクの人となりを表す見事なエンディングだと思う。
30年以上も前の作品なので、沢山の裁判物を見過ぎた私たちには今さら…という場面もあるが、「明日に向かって撃て!」「スティング」のポール・ニューマンが結構渋めで良いです。