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ケイコ 目を澄ませてのdramaticgasのレビュー・感想・評価

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
5.0
撮影が始まるずっと前から、ケイコはケイコだったとしか思えないムービー。

それなりに邦画を観ている人間にとって、岸井ゆきのが卓越した俳優であることは周知の事実であるのだけれど、本作で彼女はそんなレベルを大きく超えるベストアクトを見せている。素人目にはリアルか否かを判別できない、手話(同士)での流れるようなスムーズな会話や、超リズミカルなコンビネーション練習(音)は言わずもがな。終始ムスッとした表情のまま、でも相手や場面によって確かな感情の揺れが見えるケイコの目の演技が兎に角素晴らしい。

わけても(やっと終われると思っていたのに、続けていく者の姿を見せられた時の)言語化できないラストのあの表情には、ハートが震えた。