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X エックスのolnのレビュー・感想・評価

X エックス(2022年製作の映画)
4.2
輝かしい人生の帰路に立っている
退屈な人生を駆け抜けていくために
スピードを吸い込んで一段目のステップを昇ろう
大丈夫、こんな過去もいつか笑い話になる
見られることなんて慣れてしまう日が来る

2人の秘密は誰に知られることもなく
時代の流れの中に飲まれていく
この水の中で息を潜めた怪物に
不都合な真実は食べさせてしまおう

過去は消して
今で上書きして
受け入れた人生を記録に残して
人は死んでいく





感想です。

ガスステーションでの何気ない会話で示唆されるように本作は3部作(予定)の一作目、続編はここから遡っていくそうで、続編で描かれるのがその人ですか、そうですか。これは楽しみです。現時点で既に「ブロンドが嫌い」の回収にワクワクしています。普通に見ただけでは気づくはずもないのですが、とある人物たちを演じる、とある1人の演者。この対の存在の効果と、宗教放送で明かされる事実に、続編の期待値が爆上がりします。
"X"の意味についてレビューでもパンフでもたくさん考察されていて、どれもなるほどと思います。個人的には視覚的に人生が交わったことを示唆する文字だなと思いました。文字ひとつで、いろんな考察を生むのって凄いことですよね。

とてもメタ視点に富んだ作品で、ガスステーションでの会話然り、「ホラー映画でも撮ってたんじゃないか」然り、創作と現実に起きていることの葛藤だったり、こういう情報が散りばめられている映画が好きなのよと、最近の空振り続きから抜け出せたことの悦びを噛み締めました。特にラストの決別にはグッときます。こんな顛末を迎えるまでに、どんなストーリーがあったのかを想像するだけでも、感慨が溢れかえってきます。

映像作りにも予断がなく、開始直後からスタンダードサイズと見せかけて・・・という仕掛けにワンパン食らわされます。旧作へのオマージュも欠かさず、”サイコ” ”悪魔のいけにえ” “シャイニング”なんかにも目配せをする最高の映画でした。


追伸その1
牧草用のフォークで、そっと2回目をいくシーンは笑いました。独特な面白さを感じたのですが、シアター内で笑ったのは私だけでした。マジホラーだわ。

追伸その2
高校生女子5人くらいが上映開始ギリギリに入ってきて、ちょっと気になるレベルでヒソヒソ話していたのですが、私の2席隣に座っているおばちゃんが、キッと睨みを利かせると高校生が黙りました。おばちゃんBigUp!

追伸その3
怖がらせるシーンで高校生がちゃんとキャーキャー言っていて、これが正しい反応なのだろうなと思いました。私の本作一番の衝撃は、堂々と佇むフルチン黒人の影を見て、ちんこデケェと思ったことでした。

追伸その4
”クワイエットプレイス”さながらのシーンで、高校生が相変わらずビビットに「はッ・・・」と息を飲んでいるのを尻目に、「踏むの早えーわ、一回安心させてから踏めよ。」と心の中で難癖をつけていました。歳を重ねて心が擦れてしまったことを痛感して、なんだか胸が痛いです。
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