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董夫人のmingoのレビュー・感想・評価

董夫人(1970年製作の映画)
3.9
本特集の超目玉、中国映画ベスト100の第20位らしいトン・シューシュン初監督作。貞淑と恋情で板ばさみになり親・子・将軍とまさかの三角関係…かと思いきや娘にいく陽棍将軍めちゃキモいし董夫人の苦悩と孤独は使用人の張にも指摘されラストのニワトリ爆発につながる。その心理描写の連続フラッシュは実験映画的すぎだしニューウェーブの到来を感じずにはいられない。「貞節牌坊」というのは寺子屋みたいなものなのか。サタジットレイ作品のキャメラ、スブラタ・ミットラが屋内場面を撮影しているらしいが手の自然なズームやコオロギカット、被写体を自然に捉え、中国西南地域の空気感の描写などが流石すぎる。

トークメモ

トン・シューシェンについて。1941年生まれ、唐継尭の孫娘。57年父親が台湾国民党政府の仕事に就くため香港から台湾へ、60年台湾からアメリカへ64年南カルフォルニア大学卒業、64-66年アメリカの広告会社、製作資金を得る。
66年アメリカから香港へ、4作を香港でつくる。75年映画評論誌「大特寫」を創刊(66号)60.70年代の香港の事情は複雑、サンフランシスコやカンヌで上映したことから海外への視線を考えて作られた。67年1月21日の新聞で主演盧燕などが映っているがもう40歳ほどだった。
董夫人撮影トラブル続きだった、台湾ロケで煙出す機械を忘れたり帽子持ってこなかったりアマチュアみたいな撮影だったと語ってるがまだ25歳の小娘がいきなり映画業界にやってきたから苦労はあった。
董夫人、原作との比較。林語堂という作家の「貞節ー民間の逸話から」元々の中国伝記小説、貞節牌坊が建てられる前に使用人に誘惑され、自殺してしまった未亡人の物語。林語堂による改編…未亡人の文夫人は娘の美華が村に来た兵隊の李松と結婚した後、姑も亡くなり、寂しさのあまり使用人の張を誘惑する。婿の李松からも応援され、張と結ばれる。貞節牌坊が建てられなくなり、文家の長老たちはひどく失望する。
大人は判ってくれないのストップモーションのオマージュ。フランスのヌーヴェルバーグ大好きと公言。中国映画第一位の48年「田舎町の春」と共通。結末の違い、20位に68年董夫人。100本中2本ランクイン。
監督による他の三作
「再見中国」1974
若者が理想と現実の狭間で決断する際に感じた葛藤。共産党批判でなく、壁を描きたかった。2度も審査通らず87年にやっと公開。
以下全く評価されなかった
「十三不塔」1975
13のエピソードがあって麻雀の上がり方を倣って制作。監督は自信満々。
「暴〇戸」1979
成金という意味。一言二言でまとめられないような人。
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