荒い粒子にどストレートのシネマヴェリテスタイル！ケリーライカート作品まんまじゃん、好き…が第一印象で、この映画のことを考えるとひたすら暗くなり、落ち込む。カーラーをつけても一向に巻き髪にならず底なしの深い哀しみを堪えてこちらを見つめるあの眼差し、忘れられない。夫に離別され子供も職も失い有り金もすられる、うだつの上がらない自分と比べてしまうのが私の貧困さだと画面越しに気付かされる。70年代のアメリカにおけるインディペンデント映画の道筋を開いたとされる作品らしいがローデンがこの映画一本で途絶えたこともすべてがすべて映画業界のメタファーなのだろうか。不条理な文脈の中に「映画」があるから私は今日も映画館へ向かう。
