やまぞう

PLAN 75のやまぞうのレビュー・感想・評価

PLAN 75(2022年製作の映画)
5.0
いゃ~怖いというか、胸が痛いというか、なんだかもうツラくて観てられなかった~。。。もちろん最後まで観たけど。

少子高齢化がさらに進んだ近未来の日本。
増えすぎた老人のせいで国家の財政が圧迫され、若者世代に負担がきていると恨み、老人を襲撃する事件が多発。
打開策として政府が打ち出した制度「75歳以上の老人が死を選択することができる<PLAN75>」が可決・施行される。

まさに現代版『姥捨て山』政策。
つーか、若者の暮らしが良くならない!とかみんな老人のせいにしてるけど、オマエらだって年とるやろ。
現実でもそうだけど、このような体たらくになった社会を改善することが出来ない政府に対し暴動を起こすなら分からんでもないが、
非難のターゲットが老人に絞られるあたり、社会システムに従順な日本人的な感じが。

んでもって、とにかく現状の問題解決の策として<PLAN75>が施行される世の中となり、
健康診断に行けば、会場のモニターに“未来を守りたいから”とかCM広告が流れ、
役場に行けば<PLAN75>のポスターやのぼりで埋め尽くされており、
炊き出しの場所にも<PLAN75>の案内やのぼり、出張申込所的なものまで設置されている。
しかも、申込者には自由に使える一時金10万円が支給され、最期まで手厚くサポートされるという。

『強制ではありませんよ~。選択は自由ですよ~。』とか言ってるけど、追い詰めてるやろw
家族と疎遠だったり、身内がいない老人たちが恰好のターゲットだ。
働くところも無く、住む場所もなかなか見つからないし、お金もない。
孤独感に苛まれ、生きていても楽しい事なんて無いじゃないか、と<PLAN75>に申込む老人たち・・・

主人公のミチも、職も家も失い、助けてくれる身内もいない孤独な老人で、
選択肢は<PLAN75>しかない状況に追い込まれ、仕方が無いと受け入れ申請する一人である。
淡々と質素に暮らし、老人仲間を思いやり、礼儀正しく、現況を静かに受け入れるミチを演じる倍賞千恵子さんの演技が素晴らしい。

他、<PLAN75>の申請窓口で働くヒロム(磯村勇斗)、申請者のサポートをするコールセンター勤務の瑤子(河合優実)、
<PLAN75>を申請するヒロムの叔父(たかお鷹)など、それぞれのエピソードも胸が抉られる。

「自己責任」「不寛容さ」が加速する現代にも通じる、残酷な政策<PLAN75>は、
果たして日本社会を救えるのだろうか。

とっても考えさせられる良作でしたが、ツラすぎて二度と観たくないw
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