やまぞう

最後の決闘裁判のやまぞうのレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
5.0
14世紀末のフランスで起きた実話がベース。
マット・デイモン演じる、騎士ジャン・ド・カルージュが、自分の留守中に美しい妻を従騎士のジャック・ル・グリ(アダム・ドライバー)に強姦された事を知り、
決闘での決着をフランス国王に直訴するのだが・・・。

本作では、騎士ジャン・ド・カルージュ、妻のマルグリット、従騎士のジャック・ル・グリという当事者3人の視点で語られていく。
まさに中世版「羅生門」つーか、「藪の中」なんだけど、古今東西、人間の性っつーか思考というものは根本的に変わらんのだよなぁ、と興味深く思った。

以下、チョイネタバレ。





騎士ジャン・ド・カルージュ
→俺様が勇敢で強い騎士!国王の為に戦場へ赴き数々の武勲を挙げているのに領主には冷遇されているし、
戦場で命を救ってやった従騎士のル・グリには裏切られた挙句に、大切にしている妻を留守中に凌辱された!
許せんっ!深く傷ついた妻の為にも、決闘で成敗してくれるっ!!

従騎士のジャック・ル・グリ
→ジャンって確かに強いし良い奴なところもあるけど、筋肉バカっつーか、直情的で扱いにくいから領主様に嫌われるんだよなぁ~。
オレが結構庇ってやってるのに、なんで恨まれなきゃいけないワケ?
美しいマルグリットもあんな筋肉バカよりもオレの方がカッコいいし洗練されているし、イイに決まってるよ!
それを証拠に、パーティーの時にオレを見る目が・・・ホラ!あれ絶対誘ってるだろ!オレの事絶対好きだろ!

妻のマルグリット
→お父様が勧めるし、良い人そうだからジャンと結婚したけど、結局はこの時代の女性って戦利品的な扱いなのかしら。
結婚生活もワタシなりに頑張ってるけど、ジャンはセックス下手だし姑は意地悪でうるせーし、皆こーゆーものなのかしら?
ル・グリは確かにカッコいいけど、なんか胡散臭いっつーか信用出来ない感じだし、
パーティーで秋波送ってきたけど、失礼にならない程度にあしらっておきましょう。。。

・・・てな具合で、同じ出来事でもビミョーに違う視点で描かれていく演出が面白い。
「真実は何か?」というより、恐らく3人とも「自分はウソついてないっ!」って思ってるのだから、まさに「藪の中」。
確かに、人間って自分にとって都合がいいように過去の出来事を脳内変換してしまう傾向があるよなぁ。

また、女性が男性の“持ち物”扱いされている時代を描くことにより、
昨今ハリウッドを中心に広がっている#MeToo運動へのリドリー・スコット監督なりの想いも垣間見える感じがする。

それにしても、名匠リドリー・スコット監督で、マット・デイモンやアダム・ドライバー、ベン・アフレック(ピエール伯全然気が付かなかったw)など、
豪華キャスト&絢爛豪華な美術セットとVFXなのに、何故!?パンフレット作ってないねん??

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