岩嵜修平

僕らの世界が交わるまでの岩嵜修平のレビュー・感想・評価

僕らの世界が交わるまで(2022年製作の映画)
3.6
長編初監督にして、ジェシー・アイゼンバーグ、すごいな。最新型のしんどい親子話。DV被害者のシェルターを運営するなど社会活動(政治)を積極的に行ってきている母と、音楽を通じてインフルエンサー(商業)を目指す息子との対比。2020年代の親子だからこその交われなさ。

主演のジュリアン・ムーアとフィン・ヴォルフハルトも見事なもので、二人ともメッチャ賢い方だろうに、みっともない2人に確かに見える。ミレニアル世代の同級生たちのウォークな会話もリアル。プロデューサーに入っているエマ・ストーン夫妻の影響もあってか、エミール・モッセリによる音楽も印象的。

親子で、互いに子と親に対してでなく、別人に対して自分の理想を投影してしまうというシチュエーション、他の作品でも見たと思うが、他者の人生に介入したくなるという点で、現代ならではの病でもあるのだろうな。親の言うことを聞かなくて良くなった時代ならではの悩み。自分の人生だけで終われない。
岩嵜修平

岩嵜修平