岩嵜修平

ペナルティループの岩嵜修平のレビュー・感想・評価

ペナルティループ(2024年製作の映画)
3.6
『人数の町』が一部で好評だったとは言え、良く、こんな企画が日本映画で通ったなと。木下グループ、懐がデカい。面白くはないループシーンの連続の先で、待っているのは徒労感。でも、映画でしか、この感覚は表現し得ない。そして、その感覚は、今の誰しもに必要かもしれない。

ネタバレ厳禁な作品でもあると思うので書きにくいが、ループシーンは残酷な描写(日本映画で少なくなっている中で、必然性があるという点においては意義があるが)を抑えめにして、もっと笑わせたりアクションで楽しませることも出来たのではとは思う。説明無しの意味はあったが、鑑賞体験にマイナス。

とは言え、テーマとしては、死刑制度への疑義や復讐の不毛さも含めて、納得感があった。若葉竜也の被害者から加害者への転向も自然だったし、伊勢谷友介の見るからに悪人感も凄い。山下リオの真意のわからなさもジン・デヨンの不穏さも見事。渡邉寿岳の撮影も黄永昌の音響も渡邊崇の音楽も良かった。
岩嵜修平

岩嵜修平