娯楽の極み

グッド・ナースの娯楽の極みのネタバレレビュー・内容・結末

グッド・ナース(2022年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

昨日に引き続き、またしてもエディ・レッドメイン主演且つノンフィクション作品の中から「グッド・ナース」を視聴した。共演はジェシカ・チャステイン。

本作は史実を基にしたフィクションではなく、事実に基づいたストーリーを淡々と進めていく構成になっているがゆえに、ミステリーやサスペンスなんかでお馴染みのどんでん返しやあっと驚く展開、というのは正直なところないと言っていい。

登場人物も比較的集約された、視聴者側からすれば小さな相関図の中で物語が展開していくので、ミスリードもなければ推理を進める要素もほぼない。
つまり、映画としてエンタメ感を感じられるか否か、という点に関してはあまりお勧めできず、退屈に感じてしまう人も多いであろう作品になっている。

シリアルキラーが数々の病院で何を行ってきたのか、真相の解明がストーリーに沿って進んでいく中で物語は一定の結末を迎えるが、この作品の裏には、隠されたテーマが2つある。
・医療事故(医療殺人)は世間に対して隠蔽され続けていること
・隠蔽された医療事故は遺族にも秘匿され、闇に葬られていること

病院の管理システムの穴をついたずさんな安全管理が横行していたなか、いざ事故と思しき事態に陥ると、病院側はデータに基づき、誰が犯人であるかというのを容易に突き留める。

しかしそれは外部の人間には一切伝えられることなく、口外せず隠匿し続け、または該当者を解雇してなかったことにする、といった具合。
殺人も悪だが、保身に走る隠蔽体質も同じような悪であるといった描き方をしている。

もちろん本作における加害者、シリアルキラーとなってしまった存在を擁護することは絶対に出来ないし、安易に動機をぽろっと話して涙しながら同情を買うようなことも、本作はしていない。
最初から最後まで、犯人の動機は分からずじまいで終わる。

どれだけこちらが心を開いて理解しようとしても、そもそも理解し得る対象に成り得ない相手が存在する、というのが本作の最もサスペンスな部分。