娯楽の極み

スマイルの娯楽の極みのネタバレレビュー・内容・結末

スマイル(2022年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

洋画ホラーというとスプラッタで血しぶきで悲鳴がギャーギャーとうるさいイメージがあり、敬遠する人もいる気がします。
実際、悪魔のいけにえとか昔の作品は比較的そういうのが多くて、視聴した感想は恐怖とかそんなものはさておき「うるさかったな」となることが僕もままありました。

とかくホラー映画を語りだすと「金字塔はやっぱシャイニングでしょ」とやたら推してくる勢がいるんですが、個人的にシャイニングは大して面白くなくて、それをいうなら断然本作のほうが不気味&ミステリーサスペンスの面白さをしっかり作ってくれてるのでは?と感じます。当時と今の作品を同列に語るのがそもそも正しくないというのも思いつつ、です。

呪いの伝播によって被害者が生まれ続ける、っていうのはよくある設定だと思いますが、本作では「見えてる人」と「見えてない人」の対比が強く描かれているのが特徴ですかね。

主人公が精神科医で、冒頭では「見える・見えない」の基準を教科書通りの判断軸しか持っていないわけですが、伝播の条件を満たしてしまったところから、彼女も「見えてる人」側に強制的に立たされることになります。

それによる苦悩と人間関係においても大きな摩擦が生まれて孤立していくところに、映画によくある「みんなで協力して立ち向かおう!」が無く、だからこそ妙にリアルです。

もともと実の姉ともやや溝がある関係性なので、そんなに人間関係が濃かったわけでもなく、婚約者とも中盤でドンパチやって離縁してるっぽいので、今回の件をきっかけに色んなことへの決着がついた、というのは皮肉ですね。

その流れを作るためか、ところどころで主人公の言動がどう考えても聞き手に届きにくい、話の順序の下手くそっぷりにつながっている点があり、そういった意味ではちょっとイライラするポイントもありそうな気はします。

また、内にこもるタイプであろう主人公が終盤で自身の性格を吐露する場面があり、だれにも相談できずにいたことを語るのですが、視聴者の目線では「こもってる場合じゃねえだろ」と思ってしまうところもあり。
錯乱してたりするからしょうがないのですかね。

一方、それ以外のホラー系のギミックや仕掛けは斬新なものが多いので、
ホラー系で何を見たらいいか?と質問されたときはコレおすすめしたら万人受けしそうな気がしています。
人によってはトラウマになりうるグロ描写が結構あるので、そこだけは最初に伝えておきましょう。

2時間弱の尺ですが、没入感があって次の展開を待ってる間に終幕、な映画なのでホラーが得意でお暇な方は是非ご視聴を。