娯楽の極み

シカゴ7裁判の娯楽の極みのネタバレレビュー・内容・結末

シカゴ7裁判(2020年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ノンフィクションものが好きでよく見るけど当たりはずれが結構ある印象で、なかでも「シカゴ7裁判」は当たり中の当たり。
ベトナム戦争を背景とした反戦デモにかかわる裁判を取り上げた作品で、時系列を行ったり来たりするので、べろべろに酔っぱらっての視聴ではついていけない気がした。

本作は映画の冒頭からなかなかショッキングなシーンで始まる。
キング牧師のベトナム戦争を批判する演説と、銃声。
キング牧師に祈りを捧げよと語るケネディ上院議員の演説と、これまた銃声。
現在もくすぶる人種差別問題が今よりも色濃く反映されていた時代の話。

主人公はエディ・レッドメイン演じるトム・ヘイデン(だと思う、主人公側は複数キーになるキャラがいる)、それの相手役としてジョセフ・ゴードン=レヴィットが検事として登場、複数の登場人物を絡めた群像劇的な作品。

反戦を訴える学生団体や、反戦意志はあれどやや宗教染みた奇妙な行動が目立つヒッピー、MOREと呼称されるベトナム戦争終結運動家、黒人たちを警察から自衛するために生まれたブラックパンサー党など
主人公側に位置する人物だけでもかなりの数がいるので誰が誰だっけ?となりがちだが、ストーリーが進むにつれてなんとなくわかってくる(はず)。

戦争を発端としてのデモ隊を裁く裁判を描いているが、この映画の中で大きなテーマとなっているのが人種差別問題と、保守的且つ権威主義的な政治に対する批判。

およそ民主主義とは思えない、審理を審理として進めない理不尽な判事に対し、被告側(主人公)が手を変え品を変え対峙していくのがストレスであると同時に「何とかあいつ(判事)を倒してくれ…!」という思いがどんどん募っていく作りになっている。

結末は、視聴者側がどう受け取るかだとは思っていて、見方によってはこれでよかったのか?と感じる人もいるかもしれない。
ただ、これまでの歴史上で実際にこの裁判と結末があったことは事実であって、調べた限りでは妙な脚色もされていない内容らしい。

となれば、有名な俳優たちの力を借りて後世にこの事実を残していくというのは絶対に必要なこと。