KIMI サイバー・トラップのChanpuruPooのネタバレレビュー・内容・結末

DVDスルーが続くスティーヴン・ソダーバーグ監督(撮影・編集も兼任)の新作だが、本作もやはり面白い。『裏窓』や『暗くなるまで待って』などの王道スリラーの想起させる展開で、たしかに既視感はあるし小ぢんまりした印象ではあるのだが、"このくらい規模感の、こういう映画こそが面白い"という作り手の確信が感じられる。テンポ良くサクサク進むのでどこか淡々としている作品だが、一方で主人公アンジェラ(ゾーイ・クラヴィッツ)が会社に乗り込んでからの、淡々としているがゆえに不気味さが募ってくる演出が面白い。また、登場時間が短い割に妙にキャラが濃いハッカーなど、細部への奇妙なこだわりも味わいぶ深い。終盤にかけての伏線回収も小気味良くて、ジャンル映画的なカタルシスがあった。