回想シーンでご飯3杯いける

今夜、世界からこの恋が消えてもの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.8
三木孝浩監督作品はこれで11本目の鑑賞。小説の映画化が多い監督なので、原作との相性によって出来不出来の差が激しいんだけど、今回はばっちりハマっていると思う。

前向性健忘(日ごとの新しい記憶を蓄積できない、実在の病気)の女子高生と、彼女を支える男子の恋愛物で、テーマは「記憶」という事になる。これまでの三木作品で言えば「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」や「きみの瞳が問いかけている」に近く、こういう切ない純愛物を作らせると、この監督は非常に良い仕事をする。

難病ものではあるけど、感動のポイントはそこになく、そもそも「人を好きになる」という感情は、何処から生まれ、何処で育まれるのか?であるとか、人生に於ける、覚えておきたい記憶と、忘れたい記憶であるとか、脇役を含めたヒューマンドラマ的な要素をしっかり構築しているので、高校生の話ではあるものの、大人も楽しめる。

ちょっと気になったのが、男子側の視点で描くパートが多過ぎる事。女子側の視点でひと通り描いて、後半で男子側の内心を明かすような構成にしても良かったのではないだろうか?

エンドロールで知ったけど、男子を演じているのはジャニーズのタレントで、製作の筆頭として同社の元社長もしっかりクレジットされている。その辺りで、出番の多さとかコントロールされている部分もあったりするのか等、どうしても考えてしまうのでありました。