けっこう序盤は、何も起きないのよ。
（何も起きないなー）と思い始めた頃、
ジョーダン・ピールは、仕掛けてくる。
この焦らしや、喉の渇き感、
引っ張りの塩梅具合は、本当に
ジョーダン・ピールって天才よね。
見たことないの作るよね、まず。
雲の種類って10種類で、その中で
3種類の、上層雲、中層雲、下層雲の
高さの違う雲に分けられる。
その中で僕らに馴染みがあるのは
空の低めにある（わた雲）こと積雲。
やたら明るい夜ってあるよね。
群青よりさらに明るく見える時もある。
夜なのに明るい。無数の雲が浮かぶ。
どこか非現実的で、何かが起きそうで、
明るい夜空って、どこか怖い。
なんか、これから、
雲とか夜空の見え方が変わる。
（ファフロッキーズ現象）と呼ぶ。
古代から、世界各地で見られる、
空から魚やカエルなど、ありえない
モノが降ってくる怪奇現象のことだ。
他にも（いかにも）な雑誌ムーで
扱われそうなオカルト的な現象
（アブダクションやキャトルミュー
ティレーション）を想起させる場面
だったり。）
で、あー、やっぱりそっちなの？と、
油断をしていると、演出的にも
ビジュアル的にもメッセージ的にも
さらに想像の上を行くので、こっちは
言葉をなくす。とゆーか追い込み方が
えげつないのだ。
そんな簡単な話ではないが、そんな
簡単な話に見せているのが凄く上手い。
（ちゃんとホラーとして楽しんでね。）
（家族や友達、恋人とポップコーン
ムービー）として成立させながら、
強烈なメッセージを叩きつけてくる。
こんな芸当なかなか出来ない。
しっかり『怖っ！』な作品で、
しっかりエグい。見えてくる現象、
証拠、ノイズに（時間差がある）のも、
こっちが踏み込んで想像してしまうと、
胃酸が反応して、さらに恐ろしさが
増幅してゆく。
ラストへの持っていき方も好き。
最初はストーリーさえ見えてこない。
どんなジャンルで、どんな結末が
待っているか、想像も出来ない。
そもそもジャンルなどないのだ。
見事な語り口。見事な調理っぷりだ。
