息子は、ほんの6年前まで
『リメンバー・ミー』で号泣していた。
人の死を想像すると逃げたくなるくらい
恐怖を覚えるらしい。
横の息子は、山盛りのポップコーンを
ばくばく食べながら、『あっ、死んだ。』
『はい、死亡。』と小さな声で言っている。
ゴジラの咆哮も『うるさっ！』とウケる
程度で、泣くこともない。
『恐っ！怖っ！こわっ！』とか、
『うおーーー、マジか！』とか言っては
いるが、怖がっているフシはない。
放射熱線のシーンは『！！！』と
わかりやすく驚愕な顔になっていて、
むしろ楽しんでいる風だった。
もう、スクリーンの中の主人公に向けて
『良かったね、良かったね』と嗚咽しなが
ら声をかけることもない。
（お兄ちゃんになった）だけの話なのだが、
何だろうか、すごく寂しい。
息子と2人。日比谷まで遠出した。
息子はゴジラを像見つけると、
ガオォォ！と喧嘩を売っていた。
『昔ここでアルバイトしてたんだよ。』
と言うと、目をキラキラさせながら、
『父すげー、父すげー』と、アーニャ
みたいな言い方していた。
一緒に映画を観た一週間後に聞いたら、
『恐怖8割、うるさい2割。』らしい。
観ていた時には気付かなかったが、
けっこうな恐怖体験だったらしい。
『その前の日に観た（SPY FAMILY）と
どっちが良かった？』と聞くと、
『SPY FAMILY。』とソッコー返事が来た。
なるほど。
さて映画。まぁ、75点くらいか。
面白かった。面白かったが、
そこまで傑作か？と正直思う。
非常に分かりやすい作品だった。
いや、面白かった。それこそ、
終戦後の東京を舞台にしたのは、
大発明だったと思う。
だけど、まぁ75点くらい。
それらしいキャラクターが、
それらしい展開があって、
それらしいラストを迎える。
いや、面白かった。
わかってる。うんうん。
