「わたしはあなたに汚物をかけ、あなたを辱め、あなたを見せ物にする」
ー ナホム書第3章6節
「ゲット・アウト」のジョーダン・ピール監督らしく、人種差別への警鐘を鳴らすメッセージがふんだんに込められたSFスリラー。
予告からてっきりUFOから逃げ惑うパニックホラーかと思っていたので、「ゴーティ 家に帰る」というホームドラマの事件から始まる冒頭は正直面食らったが、最後まで観るとなるほどなと思う。ナホム書からの引用も、「見る者と見られる者」の関係性を思えば納得。ジョーダン・ピール監督作品はそういった細かいメッセージを読み解くのが楽しい。
そして小難しい考察抜きにしても、エンタメとして充分に面白いのも監督の手腕を感じるところ。対UFOのシーンは準備からワクワクが止まらない。新世紀エヴァンゲリオンの使徒オマージュやAKIRAのバイクシーンオマージュなんかも楽しい。
社会問題とエンタメを見事に1本の映画に落とし込んだクオリティの高い作品。
