SAVE

ドッグヴィルのSAVEのレビュー・感想・評価

ドッグヴィル(2003年製作の映画)
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鑑賞者の倫理観がグチャグチャに弄ばれる傑作。「ハウス・ジャック・ビルト」もだが、こういう構成の映画を作るラース・フォン・トリアー、最高に意地悪い性格してる。

狭い倉庫のような屋内の、黒い床に白いチョークで区切られた仕切り。仕切りの中や外には「楡通り」や「トム・エディソンの家」といった場所の名称が書かれており、これが今作においての舞台セットになっている。家具や小物、壁などは必要最低限しか配置されず、あけすけなセットの中で演技する役者に最初は戸惑う。
しかしこの仕掛けが、ストーリーの後半どっしりと効いてくる。

「胸糞映画」と言うのも、「爽快なラスト」と表現するのも違うと私は思う。力のある者が無い者を蹂躙する、それは正しいのか?ならば、例え辛い目にあわされたとしても相手を赦すことは正しいのか?赦してやった、という自分に陶酔するだけ傲慢なんじゃないのか?

この映画がもつテーマに正解は無い。だからこそ、この映画をこうだ、と評価する言葉を私は吐くことが出来ない。
だが、紛れもなく傑作。

ラストシーンで自分が抱いた感情を、ラース・フォン・トリアーが嘲る姿が脳裏に浮かんだならば、この映画を真に楽しめた証ですので誇りましょう。
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