しおえもんGoGo

NOPE/ノープのしおえもんGoGoのレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
3.7
頭でっかちで見ていいのかあかんのか…と迷う映画
やっぱり監督の前2作のイメージが強すぎて、ついつい何かしらのメッセージ性とか風刺の要素を探してしまう。
普通にエンタメとして見ていいのか?と探り探り見てるような印象。

でもちゃんと深堀したら色々あるんだろうと思いつつも、普通に楽しめた。
「動物(他者)を思い通りに出来ると思ったら大間違いやで」というのが色んな局面で繰り返し描かれるが、これがまた結構怖くて、特にチンパンジー絡みの場面は音も映像もめっちゃ怖い。具体的なシーンは見せないのに、うめき声とか、鈍い衝撃音とか、揺れる足とか、想像を掻き立てられて怖い。
そもそも動物というのが怖いのだ。通じてるようで通じてない感じとか、こっちには分からない危険を察知している様子が。
この監督はじんわりした恐怖や不穏な空気を描くのがとても上手だと思う。

以下ネタバレあります。


父を突然亡くしてから陰キャになってしまったOJと、真逆の陽キャ妹エムに、一見チャラいイケメン風かと思いきや ただのオタクだったエンジェル、終盤には激渋の凄腕風イケオジと段々メンバーが加わっていく感じが楽しい。
またGジャンを何とかとらえようとする工夫や作戦も、地に足着いた作戦でわくわくする。

映像的にも、今更新しい宇宙人って作りづらいと思うけど、パラシュートとタコとクラゲを足したような造形は斬新で美しい。

チューブマンっていうのかな?あの風船の人形のポップさと、絵面の暢気さと、その挙動がもたらす緊張感のギャップもとても良かった。映像的にも広がりがあって、ロケーションの魅力が出ている。

また不仲ではないけどちょっとギクシャクしていた兄が妹を守ろうとするシーンは結構グッとくる。ずっと伏し目がちで元気が無かったOJの意を決した顔がりりしい。

その他
・馬撮影の現場の嫌らしい感じってリアルなのかな。なんかネチネチしたおべんちゃらと見下しが気持ち悪い
・馬が可愛いし、ラッキーが無事でよかった。でもクローバーやゴーストはダメだったのかな。
・ジュープがGジャンを餌付けしてることが分かった時は驚いた。あの馬達の用途はそういうことか!
・でもOJもそんなに沢山の馬が必要っておかしいと思わん?
・ちょっとジュープがやってる事が分かりづらいのは難点かも。夜にジュープのショーの音が流れてくるシーンは最初は怪しい新興宗教かと思った。
・そんなショーをやってたらあっという間に噂になってもっと大騒動になってるような気がする
・カウボーイをアジア人がやってるのは、アメリカ人から見たら結構違和感ありそうだけど、こういう所も含めてのキャスティングだろうか
・妹、最初登場シーンでコミュ力の高い有能かと思いきや、ただのマイペースな陽キャ
・妹役の人、大声出し過ぎで喉潰れてるんじゃないか
・ジュープの馬の像を盗んだ時のジュープとのやり取りが最高
・ジュープの子供役がめっちゃ大人と似ててウケる
・英語でも空気を読めという意味で「Read The Room」略して「RTR」という表現があるのかとびっくり。RTRはDai語みたいなものかもしれないけど
・ジュープの子供のいたずらシーンがめっちゃ怖かった
・ホルストが最後どういう勝算があって特攻していったのかが良く分からなかったし、せめてその映像はサルベージされて欲しい
・教科書に乗せたい位のAkiraのバイクオマージュがかっこいい
・兄妹(特に妹)がずっと「オペラ」にこだわってるのが俗っぽくていいし、日本で言えば「徹子級」って感じなのかしら?
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