翼

NOPE/ノープの翼のネタバレレビュー・内容・結末

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

見る者、見られる者。
支配する者、される者。
それはUMAと人間だったり、家畜と捕食者だったり、黒人と白人だったり。

誰かが言っていた、未知との遭遇の映画はコミュニケーションの在り方を描く映画。全くその通りで、本作もUMAとの関係性を巡る作品だった。
白人支配の名残が色濃く残る地を題材に、主従関係を否定し共同関係を結ぶ者を是とするテーマを手掛けるのがジョーダン・ピール。
これはシンプルかつ奥深い。

人生に行き詰まっている兄妹が、UMAに逃げ惑い生還を目的とするのではなく、人生逆転を賭けてて立ち向かう姿にグッとくる。「記録こそが反撃」というのはSNS的でなんとも現代的に映るが、映画始祖のルーツに持つ兄妹だからこそというバックボーンに気付くとなかなかにエモい。
UMAに怯えるホラー作品としての前半と、強敵との闘いをカウボーイが治める西部劇としての後半。合いまみえるはずのない二つの主成分が見事に混ざり合って成立していることが紛れもない監督の手腕。
埃まみれの農場で繰り広げられるUMAバトルという題材からは想像出来ないほどシーン毎が見事に絵になる。パチ屋前によくいるピロピロ風船ボーイ(なんて言うのあれ?)が倒れていく様とかスコーピオンキングパーカーで馬を駆るOJとか。UMAの姿も神々しく、カメラマンが命を懸けてでも撮りたいと思わせる神秘性と画力に説得力がある。クワイエットプレイスみたいな「ルールを破ったら即死!」のゲームじみたワンシチュエーション系と想像していたのが良い意味で裏切られた。

制御が効かない動物が怖い、って意識付けとして登場するゴーディが一番怖かったわ。
翼