翼

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースの翼のネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

スパイダーマン。「親愛なる隣人」たる軽やかなアメコミ作品という表面と、版権を会社が持ち様々な漫画家が作品を手掛ける統一性と非統一性が折混ざる側面、そしてその版権を巡るいざこざの裏面。多面的な特徴をマルチバースという解釈で包括する=スクリーンの外の事情がそのまま本作のキモでもあるというなんとも複雑かつ緻密な脚本。ただの「スパイダーマン全員集合!」作品ではないわけだ。それにしたって、単純にありとあらゆるスパイダーマンがスイングしまくる絵力は圧倒されるし世界観の描き分けも見事。画風だけでなく、キャラ毎にアートの方向性を背負わせているのが神がかってる。
グウェンがメインとなるパートの水彩画のような色彩は、彼女の感性のうつろいを見事に描く。マイルスはヒスパニック系のルーツを持ちながらのHIPHOPグラフィティ、パンクはバスキア(顔もw)で、個人的にはアルキメデス風のバルチャーが最高。誰がデザインしたんだろう、神過ぎる。

ここまで書いてみてわかったけど、本作の最大の魅力はこのアイデアをまとめきり、かつ三部作の中編という最も難しい立ち位置作品としての機能を果たしながら、しかもしっかりと面白いというウルトラCをやってのけている構成力とみた。とんでもない映画だよコレ。

前作で最早概念となった『スパイダーマン』というフォーマットを今作もまーあらゆる角度から再定義する。
『大いなる力には大いなる責任が伴う』スパイダーマンの根幹たる命題。放射性のクモに噛まれ、努力ではなく不意にスーパーパワーを手にする導入に、その力と引き換えかのように悲劇と試練が待っていることもまた彼らの宿命。多次元宇宙の彼らも全員がこの運命を受け入れ『スパイダーマン』と成った。悲劇の運命を強要されるマイルスが唯一運命を否定するスパイダーマンとなりこれどういった結末を迎えるのか…、、、
いやーーー次回作たのしみすぎる
翼