翼

アバター:ウェイ・オブ・ウォーターの翼のネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

アバターの一作目がリリースされた時、3D映画の金字塔として奉られ『映像体験』というキャッチフレーズがメディアに溢れた。この表現は実に的確で、映像を観ているだけでその世界に降り立ったかのような没入感と迫り来る肉薄の生物は、正に「体験」そのものだった。
二作目はジェームズキャメロンの真髄、海洋編。水の表現は息を呑む。トゥルクンはその生態を感じるほどだった。
ただ二作を通じてどうにも好きになれないのが人物像。「ゲームみたい」というのが率直な最初の感想。人間の皮を被った人間では無い何か。それが人間的であればあるほど不気味の谷は深まる。映像美のヒエラルキーが【映画<ゲーム】となっているわけではなく、不気味の谷を超えられない造り物の美としての賛辞。
良くも悪くも超微細CGが全てで3時間半に及ぶ壮大なドンパチも戦略や意外性は無く、言ってしまえばただただ美麗なアクションCGが連続する状態なので(それが凄いことではあるのだが)慣れてしまうと冗長にすら感じてしまう。贅沢な悩み。
二作目は世界観の説明を短縮できる分メッセージが濃厚に伝わる印象があるが、本作では「家族」という最小単位の部族をまとめる難しさにフォーカスしている。
子供の反抗期とご近所付き合いで心労の絶えないジェイク。人間社会ではなかなか言いにくいことをバンバン言ってくれる海の民のお母さんが清々しい(こーゆー自己主張強い帰国子女みたいなママさんいるいる)。

自分の存在のせいで匿ってくれた一つの部族が壊滅の危機に瀕するという究極のご迷惑をおかけするわけで、かと言って集落を飛び出せば幼い家族を守りきれないわけで。。。ジレンマで胃がキリキリとずっと痛い。スカイピープルは全員が悪人ではない!けど今襲撃してる奴は一部の過激派だからぶっ潰さないとこのジレンマから抜け出せない!と弓を手に取る動機はその通りなんだけど、争いの螺旋から降りられない無常感は前作そのまま。そこら辺の課題を回収せずに迫り来る敵を撃破して「家族を守りきったぞー!うおー!!」という勝利の咆哮にどうもスッキリしないのは私だけだろうか。アバターまだまだ続くみたいだけど、この無常感が続くのなら途中退場やむなし。続編や如何に。
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