Jun潤

リボルバー・リリーのJun潤のレビュー・感想・評価

リボルバー・リリー(2023年製作の映画)
4.1
2023.08.12

綾瀬はるか×長谷川博己×行定勲監督。
映画館での気合い入ってる感じのプロモーションの割に世間の注目度が低めに感じる作品。
大正の日本を舞台にした、邦画には珍しめな女性スパイアクション映画。
海外勢に対して邦画は今時点でこのジャンルはどの程度まで完成度を高められるのか、期待して鑑賞です。

最強の女スパイ・小曾根百合が突如として武器を手放してから10年が経った大正13年の日本。
東京では、震災から一年が経過し、復興の兆しが見えてきていた。
その頃、行田市の洋館では謎の集団に一家が襲われており、現場からは一人の少年が逃亡していた。
玉の井で隠遁していた百合は、事件のことと昔の知人が関与していることを新聞で知り、単身行田へ向かう。
機関車で向かう道中、偶然乗り合わせた細見慎太を逃走中の少年だと確信した百合は、彼と逃避行を開始する。
逃げる傍ら、元海軍で弁護士の協力者・岩見に事件の調査を任せ、百合は陸軍の追手から慎太を守る。
玉の井に到着した百合は、慎太が父から託されたものの中に、今後の日本の行先を決定付けるほどの重要なものが含まれていることを知る。
そしてその秘密には、百合の過去も深く関わっていたー。

巨匠の腕、まだまだご健在!
なるほど、これが現在の東映ができる大正アクションドラマなのですね。
スパイアクションものも数あれど、全体的に、特に邦画では結局ステゴロアクションになるのが定番な印象で、今作のように多対少で大迫力の銃撃戦シーンを描けるとは思ってもいなかったので、これは意外な収穫(?)でしたね。

劇伴や演技なども、どこか大正らしさがあるような、ノスタルジックな感じだったり、見得を切っているような演技だったりで、時代劇っぽさもありましたね。
各キャスト陣についても、綾瀬はるか長谷川博己はじめ、実力派俳優勢が作品の完成度を底上げしていましたが、個人的にはジャニーズ勢が良かったと思います。
ジェシーは髭を蓄え、執拗に百合を追ってくる厳格な軍人のようでありつつ、部下を盾にしたり上官には何も言えなかったりなどの小物っぽさと、抜けきれていないジャニーズっぽさが上手くマッチしていましたね。
そして慎太を演じた羽村仁成くんですよ、彼ジャニーズJr.だったんですね、どこの子を連れてきたのかと思っていましたが、なるほど。
突然家族を奪われ、運命に翻弄される弱々しい様から、百合と行動を共にし、逃亡し守られながら大人達の強さや狡猾さを目にしてみるみる成長していく様まで見せてくれましたね。

時代設定が大正となると、この先には第二次世界大戦が待ち受けているわけで、バッドエンドとまではいかないまでも、ビターエンドら辺になるのかなと、山本五十六が出てきたあたりでどうしても予想してしまったり、、。
実際、慎太の父は上海に多額の金を隠しておくことで、軍事的、暴力的なものではなく経済による戦争回避などを狙っていたわけですが、陸軍の介入によってそれは叶わず、金は海軍の手に渡ってしまいました。
山本がそれっぽいことを言ってはいたものの、歴史がそれらが失敗してしまったことを証明しているのではないでしょうか。
せめて託され繋げられていった慎太の血が、現代にまで続いていることを願うばかりです。

上映日当日に鈴木亮平出演の情報が解禁され、さてどこに出るのかと思っていたら、まさか終盤のわずか5秒ほどだけだったとは、、。
それでも印象に残してくる鈴木亮平もさすがですが、興行がどうなるかもわからん段階から続編匂わせ(?)はアカンて。
Jun潤

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