Rick

ゴールデンカムイのRickのレビュー・感想・評価

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)
4.7
 アイヌの埋蔵金、網走監獄の囚人たち、刺青人皮、老いた武士、熊、狼、血飛沫、不死身の男、そしてもひとつ熊。陰謀と狂気が渦巻くワクワクが止まらないハイテンション和製ウェスタンの金字塔が原作とあらば、その実写化にはかなり警戒してしまうのも無理はない。実際にセンシティブな部分や、扱いの難しいところ、ビジュアル面の壁や、アクションの出来不出来など、かなり気合を入れて、ちゃんとしなければならないものが多すぎる。ただ今作では、それらを現状考えうる限り最善の方法で乗り切った。ビジュアル面はもっとコスプレ感が漂うかと思えば、画面のルックに案外馴染んでいたし、キャラポスターを見ればキャストの雰囲気はかなり頑張っていることもわかるに違いない。1番危惧されうるところのアイヌ描写も、原作以上に気をつけている。漫画で見るよりも、コタンやチセやマキリなど実物がそこにあることを感じられることのメリットも活かせている。話運びは原作のままながら、実写ロケであるために、とにかく寒そうな状況に実感がこもる。あの寒さに身に覚えがある人であれば、杉元や白石の入った川の冷たさには背筋も凍ること請け合いである。
 漫画や小説が表現しきれない唯一のピースである実在性という部分を遺憾無く発揮した今作は、この手のアクションを軸とした実写化作品のある種の模範解答を示したと言えるだろう。
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