きよぼん

さかなのこのきよぼんのレビュー・感想・評価

さかなのこ(2022年製作の映画)
5.0
アイツの視界に、オレは入っちゃいねえ。

天才の子の親は、子どもが幸せになるために常識に縛られない。普通の子の親は子どもが不幸にならないために常識を身につけさせる。そんなことを考えたりした。

「子どもなのに魚にしか興味なくておかしくないか?」そんな周囲の「常識」の声に負けずに、母親は魚大好きのミー坊の行動をプッシュ。海に行ってはたこをつかまえて一騒動。高校生になってからは、不良グループたちを巻き込んでのカブトガニを育てるというドタバタ。魚がトコトン好きなミー坊が周囲を笑顔でいっぱいにする幸せすぎる時間が楽しい!

学校を出てから社会人になってからの展開は少しビター。「常識」を身につけてこなかったミー坊は、どんな仕事もうまくいかない。生きていく上での常識を身につけていることのプラスとマイナスをみせられたのは、幸せって何かを考えると難しい。

しかし、ご心配なく。好きなことが自分を助けてくれて、ミー坊が笑顔にしてきた人たちが彼を助けてくれる。後半いろいろあっても、映画はハッピーエンドへ向けて突っ走るのだ。

「いい人しか出てこない」「うまくいきすぎる」。人生ナナメからみがちな自分みたいな人は「まあ映画だからね。フィクションだし」と考えがちだ。でも好きなモノに夢中で、幸せいっぱいで人生を突き進んでいるミー坊には、ほんとに世界はこうみえてるんじゃないか、と思うのだ。

世の中にはミー坊をバカにする人とかきっといる。でもミー坊の視界には入っていないのでないか。映画だから悪い人が出てこないのではなく、彼が認識している世界にはいないんじゃなかろうか。

主人公の視点を通して認識される映画という世界。どこがみえて、どこをみていないのか。それって幸せは世の中の認識によって変わる、変えることが出来るんじゃないか。そんな幸せについて考える映画。

もう多幸感いっぱい。幸せになれる映画!今年ベスト1クラス!オススメ!
きよぼん

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