きよぼん

ゴールド・ボーイのきよぼんのレビュー・感想・評価

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)
4.1
「ぐにゃり」が好きなのよ(*´∀`*)

最強ルックスを持つ俳優・岡田将生。その見た目まんまの二枚目キャラよりも、ちょっと変わった役を演じてるのが自分は大好物。

「告白」での勘違い教師、「星の子」のデリカシーのない担任、「聖地X」でのダメ兄貴ぶりなどなど。あの端正な顔が「ぐにゃり」と歪んで、情けなさとか、悪意とかが漏れ出すところが大好物。これぞ役者だよなー。そういった汚れ役も引き受ける度量も含めて、自分は岡田将生のファンなのだ。

沖縄で有数の企業を経営する東グループの入り婿である昇(岡田将生)。昇は遺産相続目当てに崖から義父母夫妻を突き落とす。しかし、その現場をみていた少年少女たち、朝陽、夏月、浩から脅迫をうけることになる。

「お金払ってくださいよ」といわれたときに、善人ぶっていた昇を演じる岡田将生の甘いマスクが「ぐにゃり」と溶けて、悪ーいやつの顔が出てくるのが最高。一線を越えてしまうことができることの邪悪な顔。これだけで映画観る価値ある。対して少年たちも貧困と家族の問題を抱え、一発逆転を狙って一線を越えようとしている。

天性の犯罪者である昇と対決する少年少女の切ない犯罪ジュブナイル。沖縄の空と海はまぶしいほど光ってる。彼らの未来も同じく輝いてるはずなのに、将来に対するあきらめた気持ちはなんだろう。映像も映画的な心情との対比が感じられてよかった。

作品的にはちょっと違うけど「白夜行」を思い浮かべた。特にドラマ版。あのドラマも少年少女が犯罪を起こすけど、彼らを追いかけ、諭す刑事として武田鉄矢が出てくるのよね。やたら説教する姿は「金八」のまんまじゃねーかと言われたけど、武田鉄矢の刑事には、罪に対する救済があったと思う。今作ではそれが江口洋介だと思うんだけど、その点では物足りなかったかな。やっぱりねえ、ウザがられてもガキには説教が必要なのよ。今作に足りないのは武田鉄矢だ。


--------------------------------
ネタバレ!!!!
ではないけど、以下センシティブな人は読まない方がいいです
--------------------------------
ただ、ちょっと展開がわかりやすすぎるかな。自殺した少女の一件、ラスト間際の昇との対話など、シーンの裏の意味にすぐに気がついてしまう。

これは自分が先を読んでやろうとしていたし、どんでん返しがあるときいていたので、読めてしまったと思うのだけど、もうちょっとかくしておいたり、さりげない方がよかったのではないか。

しかしまあこういうサスペンス映画って、SNSの影響もあって観るの難しい。余計な情報が入ってくる前に観にいくのか、それが無理ならネタバレに近いところまで情報いれて、ドラマをなぞるだけのほうが、かえって楽しめるのかも。

ネタが割れてもドラマとして演技も物語も申し分なしの良作。ちょっと自分も謎解きミステリーとして見過ぎたかな?ネタがわかった状態で、ドラマだけに集中すれば、もっとのめり込めるかも。「ぐにゃり」の岡田将生ふくめて、何回かみたい。
きよぼん

きよぼん