めしいらず

雪之丞変化のめしいらずのレビュー・感想・評価

雪之丞変化(1963年製作の映画)
3.3
市川崑が縦横比1対2.35のシネマスコープサイズの横長な画面を使った画作りとはかくあるべしと言わんばかりに見事な美的感覚を見せつけた名編。それこそを楽しむべき映画であって、仇討ちだとかメロドラマ的な悲恋だとか物語自体は正直どうということもない。徹底的に無駄なものを削ぎ落としたシンプルな映像はこれぞモダンの極みだろう。何たる潔さ。真っ暗な夜闇に翻る刀だけを映したチャンバラは特筆すべきものだ。視覚的にいちばん強烈な場面は、横に長ーく延びた海鼠塀が暗い画面に横たわる異様なビジュアルイメージ。こんな映像、他で見たことない!柱や襖、畳など交差する直線が多い日本家屋の画的面白さは市川崑ならでは。また淑やかな若尾文子と蓮っ葉な山本富士子の対照的な美女競演も見どころ。
再鑑賞。
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