正直、映画作品としてのクオリティは相当に低い。
作品のメッセージが脚本と馴染んでいないので、「シナリオがしっかり目の学習教材映像」みたいになっちゃっている。
また、主人公の女子高生について、愛されるキャラクターメイクに失敗しているのでは。
なんか普通に、世の中に対して呪詛をまき散らしている青臭い少女に見えてしまった。
ただ。
その「学習教材」として見た場合、政治・経済の本質的なところについて、かなり分かりやすく描けているのは確か。
本作で主張される「MMT(現代貨幣理論)」については、昨年ABEMAでの成田教授ととある方の議論がバズって以来X等で頻繁に目にし、(その議論だけから推察すると)なんとなく眉唾の理論のように受け取っていたけれど、本作を鑑賞して「確かに一理あるな」という認知に変わり、ちょっと自分なりに勉強してみようと思った。
(という意識に変わっただけでも、本作の狙いは達成されているんだろう)
また。
本作で示される「我々が政治とどう関わるべきか」という主張には、非常に首肯するところが多かった。
我々は大人であって、日本は民主主義である。
ここから帰結するべき理解は、「世界の全ての出来事に対して、我々は責任を有している」ということ。
何に対しても他人事になっちゃダメ。
全て自分事で捉えないといけない。
日本の政治を批判しても良いが(というか政治は常に批判すべきなんだけど)、
「自分とは関係のないところで意思決定が行われている」世界として他人事として批判するのか、
「自分にも責任の一端がある」こととして自分事として批判するのか、この違いこそが重要。
民主主義なので、文句があるなら選挙権を発動(選挙に行く)すれば良いし、状況が許すのならば被選挙権を発動(選挙に出る)しても良い。
日本で行われていることは、マクロで見ると、全てが我々有権者の意思の結実したもの、そういう意識をもって生活したいものだなぁと改めて思いました。
と、思索の触媒になり、思考を花開かせる作品であることは確か。
それであれば本作、その狙いは達成しているとは言えるのだろう。